静かで、不思議で、優しい気持ちになれる青春群像劇

まず、この作品は四部作である事を記しておこう。
自分は、うっかり三部から読んでしまい、その続きを読みたいがために四部へそのまま読み進めた。

物語は一見、大学生が主人公の青春群像劇だが、読み進めると少し違うと気が付く。
「月灯」という喫茶店を舞台に繰り広げられる何気ない日常の出来事の中に、スパイスの様に「不思議」がポツと現れる。
だが、それはとても自然な流れで現れるので、違和感なく読み進める事ができる。

人が誰かを心から愛することへの機微を、優しく描いた作品。

静かで、不思議で。そして、優しい人々。
読み終わったあと、物語の中の彼等が現実にいるかの様に思えてくる。
彼等のこれからの人生が、きっと彩り豊かな物であるようにと、願ってしまう。