七 旭日
長城より遙か西のかた
ふりさけ見れば、洛陽から未だ細くたゆらに昇る黒煙が、洛陽の
仏図澄が足を踏む入れし洛水の水面には、無数の屍が浮きひしめいている。洛陽陥落で屍となるに、
そうして供養した骸が幾百幾千となるか、仏図澄にもわからぬ。まだ洛水に
「
仏図澄を呼び来たる男は、青々とした剃髪の頭に汗を光らせ、
「帝は、胡の捕囚となったと」
男の言葉に、仏図澄は何も答えない。
答えぬばかりか、まるで聞こえぬ様相である。
「御坊」
男はまた仏図澄を呼ぶ。仏図澄の掬い抱えたる骸の、白く膨れし顔に髭なきを見て、仰天している。
「
仏図澄は構わず骸を抱きかかえ、水から揚げた。すでに揚げた屍の隣へ横たえると、等しく閉眼合掌させ経を唱え、冥福を祈った。
伸手 改稿前ver 久志木梓 @katei-no-tsuru
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