さよなら、エモ

みこまる

さよなら、エモ

君のことを好きと思わなくなったあの日から

わたしはシューゲイザーを聴かなくなった

歪んだギターの音も 冷えていて温かな残響も

すべてが君に似ていたから


だれかわたしにとってどうでもいい人が

あの頃のわたしを溺れさせていたものにエモという名前を与えて

結局 彼は無責任に去っていってさ

わたしと君と 二人きりを取り残して 去って行ってさ

 

肩を並べて聴いたよね

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン

彼らは靴紐の結び目を眺めたままで

わたしたちに見向きもしなかったけれど


午前五時の井の頭線

わたしはもう幸せにならない

気怠い重さを抱えながら

さよなら、エモ ありがとう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

さよなら、エモ みこまる @thakajo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ