神童成長記

　とある世界のとある国に、神童と謳われる少年がいた。
彼の名はヤキリ。
文武両道で眉目秀麗、炎のように赤い髪と煌々とした瞳の美少年だ。
　後に彼は自身の悲願であった「弟の可能性」を創造し、稀代の天才科学者として名を馳せることとなる。
そして、紅蓮の炎を纏った天使に出会い、仲間の為に戦った。
　しかしそれらはあくまで十年ほど先のこと。
現在のヤキリには関係ないことだろう。
特に三時限目の授業に遅れているこの瞬間には。
　彼が長い廊下を走っていると、校舎内のどこかしらから授業開始を知らせる鐘が鳴り響く。
鐘を聞き、ヤキリは焦りの表情を浮かべる。
「うわ、やばい！」
そう呟きつつ、走る速度を上げるのだった。


拙作「帝国内戦黙示録」のスピンオフです。
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