〖KAC20237〗自業自得

センセイ

自業自得

そうです。あたしは罪な女です。


好きな人が出来ました。

それは2人。


後で気付きました。

仲良くしてる2人が羨ましかったんです。


だからあたしは、2人の事、人としてはそんなに好きじゃなかったんです。


でも、そんなの分かりませんでした。


あたしが真ん中で笑うと、2人は作り笑いをします。

あたしが居ないと、2人は睨み合います。


あたしが壊しました。


今なら分かります。


でも仕方ないでしょう?

あたしは2人の事が好きだと、本気でそう思ってました。

あの空気に触れたいと。


でも、あたしには無理みたいです。


あたしは空気には溶けられない。

あたしはあの空気には、重すぎたみたいです。


あたしはあの空気をねじ曲げて、歪にする事しか出来ませんでした。


元に戻す?

そんな器用な事が出来る女じゃありません。


あたしに出来る事は、その歪な空間を空洞にしないように、留まってる事だけ。


でもそのままで居られる訳がありませんから、歪みは大きくなります。


そのうち飽きてきました。

歪みはあたしより大きくなってしまったし、あたしではもう役不足だと思いました。


そんな時、見つけました。

今度は1人。


あたしはその1人の元へ飛び立ちました。

立つ鳥でないあたしは後をぐちゃぐちゃに飛んで行きました。


その1人とは、上手く行きました。

でも、やっぱり空気は少しずつあたしを受け入れるように歪んでいくのが分かります。

変わらないのはあたしだけ。


あたしは置いていかれる感じがしました。

思えば、前の2人もそうでした。


みんなあたしを置いて変わっていくんです。


だから、あの2人のうちどちらかに刺されても、あたしはそれがどっちだったのか分かりませんでした。


あたしは生まれてから他人で歪んだ事の無い、汚く純粋なあたしのままで霞んで消えていきました。


そう、これは結局、あたしのどうしようもない浮気な心の言い訳なのでしょう。


そうです。あたしは罪な女です。

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