7回の攻防

ゴローさん

アンラッキーセブン

「ペンギンズ、ラッキーセブンの攻撃は、3番、レフト西村。3番、レフト、西村。背番号、47。」



 目の前に用意された原稿に目を落とす。


 目の前の小窓の下では、熱気あふれるスタジアムの光景が広がっていて、会場のムードが最高潮になっていることがわかった。



 私の仕事は、この盛り上がったスタジアムを盛り上げるアナウンサーみたいなもの。いわゆる『ウグイス嬢』っていうやつだ。


 最初にアナウンスした時は緊張したけど、この仕事を始めて7年目、もうなれたものである。


 ……と、私の話はこれくらいでいいか。もうそろそろこの眼の前の原稿を読み上げないと。


「ペンギンズ…」


 ――ドンッ

「アンっ」

「あ、ごめんなさい!」


 私の後ろを通ったスタッフの人が、私にぶつかった。


 本当は「大丈夫ですよ」と言ってあげたいところだが、今はアナウンスをしている途中。


 そのまま言葉を続ける。

「……ラッキーセブンの攻撃は、3番、レフト西村。3番、レフト、西村。背番号、47。」


 ここでマイクを切って、先程のスタッフの人に笑顔を作って、大丈夫ですよ?と、声をかける。


 そのスタッフの人は申し訳無さそうに頭を下げながら去っていった。


 それを見届けると、スタジアムが異様な雰囲気に包まれていることに気がつく。


 いや、スタジアムの中はいつも独特の熱気があるのだが、それとは違う変な雰囲気が残っていたのだ。


 それが何故か私にはわからなかったので、気にすることをやめることにした。


 ◇◇◇


「ペンギンズ、アンっ…ラッキーセブンの攻撃は、3番、レフト西村。3番、レフト、西村。背番号、47。」

「え、アンラッキーセブン?どういうこと?」

 スタジアムの中の人はみんなどういうことかわからず混乱していた。


 この後、デットボールやエラーが連発したのは言うまでもないだろう。

 どうでもいいあとがき


 世の中では4と9が不吉な数字、7が幸運の数字だと考えられていますが、


 7²=49


 っていう式が成り立つのは面白いですよね。

 はい、それだけです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

7回の攻防 ゴローさん @unberagorou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ