No.7
澤田啓
第1話 かがやけちょうりゅう
「7番、センターフィールダー!!
カズヒロォ・オトイシィ!!」
午後5時30分をちょっとだけ過ぎ、まだ4月上旬の夕空は肌寒い。
彼はと云えば今夜の
関西の(一応)都市圏にあるK市を本拠地とする『オイークス・ブルーブラスト』は、開幕からの6試合を0勝6敗の戦績で終えて本拠地の開幕戦を迎えている。
本来であれば地元ファンの前で誇らしく、そして沸き立つような高揚感と共にこのフィールドに立っていなければならない筈の試合だ。
そして数少ないとは云え、ブルーブラストのファンを名乗る人間であれば、選手と同様の気持ちの昂りを感じ、今年のペナントレースの展望を語り合うべき祝祭のような日であるべきであった。
しかしながら今シーズンにおいては、監督コーチ以下首脳陣も選手達もそしてブルーブラストを愛するファンですら、どこか虚無感にも似た諦観を以てこの試合を迎えている。
昨年オフに主力選手の相次ぐ引退とMLBへの流出により、今シーズンの開幕メンバーは昨年とは打って変わって
開幕前の解説者による順位予想でも、ほぼ全員(昨年引退したOBの予想ですら)がブルーブラストの最下位を予想し、ここまで予想に違わぬ惨憺たる成績を残してしまっている。
そして、試合開始の午後6時15分を迎えた若き外野手の
No.7 澤田啓 @Kei_Sawada4247
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