アンラッキー7's-OO-

奈名瀬

-777-

 満員の駐輪場。

 だが、そこにぽっかりと空いたおかしなスペースを見つけて、思わずため息がこぼれた。


「……またか」


 しかも、すぐ隣には真新しい綺麗な自転車が置いてあるのだから堪らない。


「……運の良い奴」


 昔なら、『運が悪かった』の一言で済んだかもしれないが……現代では違うのだ。



 持って生まれたを数値化できる現代において、私は不運だった。

 しかも、運を一桁と測定された数少ない不幸体質――通称『OOダブルオー』だ。


 だが、良くも悪くも転機は訪れる。

 数年が経ち、運を3桁と測定された者――『ハンドレッター』の傍にOOがいたら、彼らハンドレッターは自分たちの不幸を肩代わりしてもらえるとわかったのだ。

 つまり、OO私たちに”弾除け”としての商品価値が生まれたのである。


「素晴らしい! 君、が7ではないか!」


 金持ちのハンドレッターが上機嫌に笑う。


「今飼っているOOも実は同じ幸運値でねぇ。僕はラッキーナンバーに目がないんだよ」


 彼は隣に連れていた少女の頬を叩きながら嬉しそうに語った。


「それに、容姿も悪くない……決めた! 予備は君にしよう! 仲介人、いくらだね?」


 いやらしい表情で問うハンドレッターに、仲介人と呼ばれた男は一言、


「ご愁傷様」


 と返した。

 直後、ハンドレッターのスマホに着信が入る。

 電話に出た彼は青ざめた顔で「会社が、倒産?」と呟いた。



 数日後、私は仲介人の男と、倒産したハンドレッターに飼われていたOOの少女と一緒にいた。


「本当なんだ、ハンドレッターの傍に幸運値7のOOが3人いると彼らに不幸が訪れるって」


 男は笑いながら「面白かっただろう?」と尋ねてくる。

 ……正直、胸がスカッとした。

 しかし、今は同意するよりも先にやることがある。


「あなた、何者なの?」


 恐る恐る訊くと、彼は顔を上げ、


「……セブン」


 復讐者の笑みで応えた。


「俺は――俺たちは、世のハンドレッター達に最悪を届ける。不幸の777セブンスだっ!」

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アンラッキー7's-OO- 奈名瀬 @nanase-tomoya

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