第2話
今日は上級悪魔昇格試験だ。
情を捨て、躊躇いなく殺せるか、殺戮ができるかを診断し、
昇格するに足りるかどうか試される試験だ。
悪魔は全員答案用紙とペンを持ち、診断テスト、
というかもはや、人間的に言い換えると心理テストを受ける。
個人的には上級悪魔に昇格するのはゴメンだ。
上級悪魔になったら上位天使に近づくと消滅する。
あの付き纏ってくる大天使により命を落とすかもしれない。
あえて昇格試験に落ちているのだ。
年一であるのに問題自体は変わらず同じ問題を毎年受けるのだ。
上級悪魔になった同期は天使に近づき消滅した。
私の目の前で跡形のなく。
でも十回落ちたら天使と悪魔のハーフとして堕ちる
───いや、昇格するのか?
そんなことは置いておくとして、
今十回目のテスト。生きてくために天使との混血になるか。
仕方のないことだ。受け入れるとしよう。
なんかヤダ。でも逃げたら消滅する。終わったんだ。
純悪魔人生は。もう諦めて受け入れよう。
という考えを七回近く脳内で繰り返してる。
試験官「初め!」
上級悪魔になるための知識は持っている。
今すぐにでもなろうと思えば全問正解行ける。マジで。
全部外して天使との混血、ハーフになってやる。
終わった。色んな意味で。
本当にこれでいいのか?
大天使の言いなりになるのは癪だが終わったことだし
今更変えれないよ。私に二言は無い。(ドヤ)
結果まで一週間か〜早いね。
試験官がマッハ単位で採点してるからあとは職員
総動員でチェックに六日かかるみたい。
試験官は怒らせないでおこう。そう心に誓って
全問間違っている答案用紙を預ける。ごめんよぅ試験官。
会場をあとにし、私の住処に帰る。
そして案の定大天使がいた。
天使「悪魔〜上級悪魔昇格試験終わった〜?」
想定通りの質問。
正直に話したら変な勘違いされそうだし、
長引くと思うからもう取り敢えずこの答えに限る。
悪魔「帰れ。」
我ながら完璧な対応だ。
でもそれが通じないのが
このどこか抜けてる大天使だ。
天使「釣れないな〜。こ〜んなに冷た〜い対応されると泣いちゃ〜う
攻撃しちゃうぞ☆」
安定のウザさ。前回友達になるとか言ったから余計にウザい。
な〜にが"攻撃しちゃうぞ☆"だ。
友達殺してどうする。気に入ってんだろ?
悪魔「帰れ。」
帰れbot最強説。
なにこの態度。( ˘ ³˘)~♪みたいな態度。
天使「まあ答案用紙も透明化して見たし、心の声聞けるから混血になる
覚悟できてんのは知ってるよ!」
チートめ!この馬鹿!自慢かよ!
どうせこれも聞いてんだろ!
天使「正解!」
ウザっ。
悪魔「お前の下につくと思うなよ?」
釘刺しとかないと。
意味ないと思うけど一応。
天使「残念!大天使権限で仕えてもらうよ!」
\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/×∞
天使「無駄だよ?現役部下は解雇にするから新人イビリは心配しないで!」
こういうときこそ帰れbotの役目だ!
悪魔「帰れ(定期)」
天使「そういうことで泊まらせて!」
悪魔「帰れ!!(定期)」
(定期)までつけてるのに⋯
なんで帰んないんだ?
理由さえ言わないのか。卑怯者!チート!
天使「仕事サボっちゃった☆部下に怒られるから帰れない!」
前言撤回。馬鹿なの?
悪魔「早く行ったほうが怒られる時間少ないぞ?」
ここでド正論をぶちまける。
最高!これで帰らなかったら帰れbot続行だ。
天使「一週間帰ってないんだよ。」
あ。そうだいい事考えた!
悪魔「そっその⋯一緒に行ってあげるから!」
よし。これで部下さんに引き取ってもらって
待ちに待った一人の時間をGETだ!
天使「うっっ可愛い...でも⋯う〜ん⋯ヤダ☆」
おいいいいいいいいいいい
待てや完全帰る流れやったやん!
なぜに残る必要があるんか???
勢い余って関西弁になったやん!
頑張ってツン率少なめのデレだしたのになんで?
なんでなん?私だけ恥ずいやん。
ねえええええええええええ
天使「一日だけ!一日だけだから!!!」
もういい。お前のためにデレださん。
絶対に!!!
人間界に行ってやる!
天使「絶対させんから。
釣られて関西弁になったやん。
どうしてくれんねんこれ。」
知らねえよ!!!
もうこっちこそヤダ。
ここまで来たらお約束の帰れbot強化版だ!
悪魔「帰れ!マッジで帰れ!!!」
帰れ帰れ帰れマジで
天使「え〜ヤd」
悪魔「帰れ!帰れ!帰れって!」
天使「ちょまっ」
悪魔「帰れ帰れ帰れ帰れ」
天使「食い気m」
力で勝てないんなら帰れbotを貫き通すんだ!
天使「わかったから!
君が精一杯デレたあれなら行くから!」
よっしゃ勝った。⋯あれで?私死ぬやんか!
色んな意味で!色んな意味で!!
天使「じゃないと行かない。」
し、仕方ないか⋯
悪魔「いいけど?」
文字通り死ぬ覚悟で行かないと。
天界行くと浄化されて消滅しちゃうんだけど。
天使「大丈夫!君の力は膨大すぎて瘴気で聖気を跳ね返しちゃうから!」
無理でしょ。
〜〜〜〜〜〜〜
はい。私は名も無き悪魔です。
あの〜ですね。はい。
今大天使に連れられて天界に来ております。
一つ言うならば『天界は白かった』くらいですかね。
聖気で肌が無限静電気みたいで新感覚の痛さです。
とっても苛つきます。痛いです辞めてください。
今すぐ帰りたい気分ですね。奥に進めば進むほどに痛いです。
大天使いわく慣れるよ。だそうです。
はっきり言って無理です。
無事大天使を大天使の部下さんに押し付け、帰ります。
でも帰り道がわかりません。
これこそが「行きはよいよい 帰りは怖い」という現象なのですね。
そんな私に天使の皆さんはお礼にと道案内して下さりました。
お見送りまでして貰って感謝で泣きそうです。
やっと辿り着いた愛しの我が家でもそこには転移した大天使がいました。
とっても笑顔です。
私も笑顔で荷造りをしました。引っ越します。
悪魔と人間 泡沫の蒼銀。 @atamanowaruihito
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