彼女の声は、凍った炎のようだった。
口から言の葉が洩れるたび、景色の色が褪せていく。
かつて神だった少女ララァと、理性の化身テス。
ふたりが交わす会話は、刃と羽音の中間にある。
沈黙が香り、笑みが閃光になる。
互いの存在が、互いの秩序を侵蝕していく過程が、まるで詩のように美しい。
「人を理解するとは、堕ちることだ」とララァは笑い、
「それでもあなたを導く」とテスは答える。
神話の残響が、日常の会話に宿っているのだ。
剣が空を裂く音よりも、紅茶を注ぐ音の方が深く響く。
涙が熱ではなく、香りとして流れる。
感情が視覚化し、理性が味覚になる──それがこの物語の文体そのものだ。
血ではなく言葉で戦う、魂のデュエット。
世界を救うより、たった一人を理解する方が難しいと知るとき、
あなたもまた、ララァと共に堕ちていく。
神と人間、主と従、理性と感情。どの関係もこの二人の前では意味を失う。
互いを信じたいのに、同時に恐れてもいる。
彼らの会話には“恋愛”よりももっと深いもの──生きることそのもののやり取りが詰まっている。
笑い合うたびに距離が縮まり、沈黙のたびに裂けていく。
その繊細な往復運動こそが、この物語の心臓だ。
派手な戦いや奇跡よりも、人と人が理解し合おうとするその瞬間が美しい。
神が人を学び、理性が心を知る——それを見届けずに物語を語ることはできない。
チェーン店が乱立する中でひっそりやってる名店みたいな小説。
世界観や構成に強い拘りを感じ、まさにTRPGプレイヤーが考えたような作風、登場するネームドキャラは口調や個性により区別が明確で、更にシーン毎の登場人数を調整する事で誰の台詞かで混乱する事も無い、堅実なシーン描写に上手い見せ方を感じた。
一方で、話全体の波が小さいのが気になるが長期連載を見越した流れならば納得できる。
昨今の、顔は同じで髪型変えれば別人の国民的アニメみたいなウェブ小説の流行から外れた作品で、見る人によってはつまらなく感じるかも知れないが、嫌いにはならないだろうと言う程にはちゃんと面白い作品、お勧め。