KAC20236 🐷プギーの涙

オカン🐷

 アンラッキー7すぎるよ


マリア様の姿になったママとプレビュー姉さんがリビングのソファーに座り、その前に置かれたテーブルの上でピニーが踊るのを見ていた。

 ピニーは最後に1回転すると、白いチュチュの裾を摘まみ、右膝を折りお辞儀をした。ママとプレビューは惜しみない拍手を送った。

「いつの間に練習したん? 上手よ」

「ピニー、可愛いらしいなあ」

 ウフフッ。

  ママがピニーを抱きしめようと手を伸ばしかけ止めた。

「あかん、ピニーが潰れてまうわ」

「ほんま、きいつけんとあかん。ところでパパたち遅いね」

「研究所にも寄って来るって言うてたやろ」


 その頃、パパとプギーはドラキュラの姿で、以前住んでいた町の上空を飛んでいた。辺りを何度も旋回し、やがて動きを止めた。

「パパ、ぼくたちの家、なくなってしもたね」

「ああ、焼き討ちににあったようやな」

 町は一面焼け野原と化し、何処がプギーの家があったところかもわからない。

 まだ火の粉が燻っているところもあって、辺りはきな臭い匂いに覆われていた。

 2人は研究所に急いだ。

 だが、結果は同じだった。

「大事なものを持ち出しといて良かった。そやけど酷いことするなあ」

 パパは悲嘆にくれていた。

 無人の町と化した一画に小さな教会が佇んでいた。

 そこから何と黒い服の神父が現れた。

 しかも、ピギーの以前の姿、豚だった。

 パパは静かに舞い降りると、神父に話しかけた。

「ご無事だったんですね」

「ええ、あなたに注射を勧められたが、やつらも聖職者には手を出せなかったようで助かりました」

「ああ、良かったあ」

「教会の中に逃げて来た、ちびっ子たちが大勢いるんです。種の存続のためにも隠し守って、成長を見届けたいと思います」

 パパと神父はハグして別れた。


「おかえりなさい」

 ママが言う横を無言で通り過ぎたプギーは、2階の自室に閉じこもった。

「プギー、どないしたん。泣いてたやん」

「ちょっと刺激が強すぎたようやな」


      了


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