七つの不運

一色 サラ

不運の出会い

 広いショッピングモールにあるフードコートで昼食時、人の話声で館内の騒がしい声が響いている。テーブルや椅子が多く配置されて、狭さを感じてしまう。すし詰めの館内で食べてる人は落ち着いて食事ができないことは不運に思えてくる。


「それでさあ、ママ…」

「ねえ、ちょっと黙ってて」

 子どもが注意されているが、気にせず「それで…」と話を続けいる。子疲れな母親と気にせず話し続ける子どもが気分の不一致で不運を呼んでいるようだった。


 カレーを注文しようと、店舗に並んだ。

「カレー。チーズをトピックスして」

「すみません。チーズを切らして」

私の前にいた客が、注文のやり取りが聞こえてきた。チーズがないと言われた客は「はあ、じゃあいいや」と少し怒った声で言って、店舗を後にしてしまった。店はチーズがないことで売り上げが減り、食べたかったトッピングがなかったことで、カレーを諦めた客が不運に思える。


4 

 カツカレーを注文して、すぐにカツカレーが出てきた。席を探しながら歩く。お昼時なので、どこも埋まっていた。いつも思うが、注文もする前に席を探したが方がいいことは分かっている。でもお腹の減りには勝てず、先に注文してしまう。立って食べる用のカウンターしかなく、そこで食べることにした。不運な気持ちだ。


 二つほど離れた席で、笑う男。タブレットで動画を見てるようだが、なんか気持ち悪い。立って食べているのに、動画を観るのは凄い。「なんで、切れるんだよ」と大きな声が聞こえてきた。側には誰も居なかった。1人で話しているようだった。「最悪、どこかに充電できないのか」と、充電がなくなって動画を見れなくなったらしい。心の声が、ダダ洩れだった。充電が切れたは不運だが、こちらからしたら、笑い声が聞こえてなくなって、幸運だった。


 後ろの席で、年配の会話が聞こえてくる。

「うちの息子の嫁も帰ってこなかった」

「大変ね」

「そうなのよ」

愚痴とか関係ない立場から聞くと、嬉しいものではない気がする。それに姑とは嫌な人に思えてくる。

「あら、美幸さん。」

 知り合いがたまたま来たようだったが、声は嫌味たらしく聞こえてくる。

「ああ、お義母さん」

 ああ、姑との遭遇だ。ただ、先ほどの嫁の文句を言った方じゃない『大変ね』と相槌していた方のお嫁さんのようだった。姑との遭遇は不運だ。


 子どもの走りまわっている。母親の「危ない」という声が響く。子どもが軽く壁にぶつかって、持っていた飲み物がこぼれた。

「いい加減にしなさいよ」

 こぼしたオレンジの小さな水たまりを放置して、子どもを連れて、母親はどこかへと行ってしまった。

 数分経って、「ああ」声が聞こえてきた。誰かが転んだ時のような声がした。人が床に崩れ落ちていた。

「誰がオレンジジュースをこぼしたんだよ。」

 タブレットの充電がないと言って人だ。この人の今日は不運な日なのだろう。

 

 






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