パパ上様日記 〜８－１＝７〜 KAC20236

痛い思いは八度もすりゃ一度は覚えてるもんさ。

　私は、妻と出会ってから、大体八度くらい痛い思いを経験している。

　一つ目は、

「ダンクスマッシュ！」

　妻とデート中にエアースマッシュして足の指を折ってみたり。

　二つ目は、

「もってかれたぁっ！」

　家の柱の角に小指をぶつけて四つん這いに這い蹲り足を押えて叫んでみたり。

　三つ目は、

「ふぐおぅぅっ！？」

　地元の長いエスカレータ。普段足を置くぎざぎざのとこに左目を強打してパンパンに晴れ上がってぐちゃぐちゃになったり。

　四つ目は、

「こゆびーっ！」

　アパートの柱の角にボールを蹴るように足をぶつけて小指が変な方向へと曲がってしまったり。

　五つ目は、

「見せてやる！　私の華麗なるテクニ――」

　テニスではしゃいで着地に失敗。足ぐきりってなって四つん這いに足押えて持ってかれたポーズしてみたり。

　六つ目は、

「ぜぇはぁ……ちょ、息吸えな――ひゅがっ！？」

　子供特有の無尽蔵の体力を持つ息子とサッカーボールを使って公園で遊んでた時。

　動き続けて、目の前真っ暗になって足を滑らせ足を痛めてみたり。

　七つ目は、

「ぐぼぁぁぁっ」

　バスケで息子と接触。「無敵時間（まともに動けるのは10秒）」を発動した後で見事に尻餅をついて老化に気づいたり。

　八つ目は、

「くすりゆびーっ！」

　一軒家の我が家で、プラスチックの足踏みに小指を持っていかれて。持って行かれた小指がぐいんっとしなって私の薬指にヒビを入れたり。

　そんな痛い思いをしてきた私ではあるが、その傍には常に妻がいたような気もする。

　妻にいいとこ見せようと頑張った結果がこれだったのかもしれない。

　いいとこ見せられないのはアンラッキーだったのであろう。足ばっかだな。

　だけども。

「あのダンクスマッシュは、心に残ってるわ」

　妻が、その一つを笑い話として覚えていてくれるのは、きっと、アンラッキーではないのであろう。

　今日も我が家は。

　平和だ……――。

「いや、あんたのやらかし。大体覚えてるわよ？」

　……はい、すいません。