地獄のカジノ〜その魂がなくなるまで〜

国見 紀行

地獄の沙汰も、運次第!?

 人は死ぬとその魂は閻魔大王のもとで天国と地獄に割り振られる。

 生前に徳を積んだものは天国に行き、幸せな時間を過ごす。地獄行きは逆だ。

 だが、そんな地獄行きの連中にも一度だけチャンスが与えられる。本人の一番得意なもので獄卒と勝負し、勝てば天国行きになるというものだ。ジャンケンが強いやつはジャンケン。ものまねがうまいやつはものまね。

 俺は、生前ちょっとは名のしれたギャンブラーだった。だがポーカーやルーレットは胴元が絶対勝つなんて常識だ。ってことで俺はスロット勝負を申し出た。

 ルールは簡単。俺と獄卒がそれぞれ魂をコインに変えて、初期枚数を回し終えた時点でより儲けた方の勝ち。

 なーに、俺の動体視力があれば獄卒より稼ぐなんて楽勝よ!

 一応、公平を期すために全く同じスロット台を用意し、それぞれが千枚のコインを持って開始。

 がちゃん、がちゃん、がちゃん!

「うーん、はずれたなぁ」

 獄卒は早速外してるようだ。

 俺はというと、一枚目を延々と回している。きれいな回転を見続け、どこに何があるかを記憶する。

 しばらくすると止まってしまう(もちろん外れる)が、構わず空回しを続ける。

「どうした? 得意な競技じゃないのか?」

 言われてちらりと相手を見ると、いつの間にかそこそこの小当りが出たようで、三倍近いコインが足元に溜まっていた。

 焦る必要はない――

 そもそも相手の領域テリトリーでの勝負だ。多少こちらの分が悪い勝負なんてことは百も承知。

 だが、見えてきた。

 俺は手持ちのコインをがっと投げ込み、一気に勝負に出る。

 チャンスは一回。

 足でリズムを取りながら、リールを見事777に揃えた。

 よし! 完璧だ! これで払い出しは……

「おー! すごいじゃないか」

「ふ、勝負は俺の勝ちだな」

「そのスリーセブンは特別なやつで、天国行きよりいい特典がもらえるぞ」

「まさにラッキーセブンだな。で、特典って?」

「人間界に戻って、死ぬ前からやり直せるんだ」

 それは借金苦で自殺した俺にとってアンラッキー7だよ……

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