『刑事アン&ラッキー』担当事件はすべて迷宮入り?

笹 慎

事件ファイル7 『コンビ解散の危機!?』

 ラッキー巡査の人生は、ラッキーに次ぐラッキーだった。


 まず両親は貧乏だったが、ラッキーが生まれた次の日に高額宝くじに当選した。続いて、学業試験はすべてヤマが当たり、スポーツはラッキー連発でチームを優勝に導く。欲しい物はプレゼント抽選でゲットしてしまう。


 そして、ラッキーはこの能力で少しでも困っている人を救おうと警察官になった。


 警察官になってからも彼のラッキーは続く。市内を巡回していれば指名手配犯を見つけてしまうし、職質をすれば近隣で空き巣を繰り返している窃盗犯だったり、とにかく大金星な逮捕を連発した。


 ついにラッキー巡査はその類まれなる才能を見込まれて異例の早さで殺人課の刑事に抜擢される。


 しかし、彼のラッキーはここで潰えた。


「アンさん! 次の7つ目の担当事件も迷宮入りなら、俺達コンビ解消だそうです……」


 アンと呼ばれた赤毛の女性刑事が不味いコーヒーを啜りながら、頷きそれを肯定した。


 彼女は署内随一の推理力を誇るアン警部補。上層部は優秀なアンとラッキーが組めば、解決できない事件はないと思って組ませたが、一つ忘れていたのだ。


 、となってしまうことを……。


 証拠はアンラッキーな事故によって次々と消失。浮かび上がった容疑者も捕まえる前に不運な事故死。


「俺、嫌ですよ……。アンさんとずっと組んでたいのに!」

「まぁ次の事件を解決すればいいじゃないか。ラッキー君」


 アンは今回の担当事件フォルダを開く。『暴食Gluttony』と書かれた壁の前でスパゲティを大量に食わせられて殺された男の写真だ。


「ふむ。七つの大罪がテーマか。ラッキー君、弁護士名簿から君の直感を信じて選びたまえ。そして、その弁護士を張り込みしなさい。で」


 次の日、ラッキー巡査は犯人を捕まえた。ついでに監禁されていた被害者の一人も見つけた。



「ラッキー君、これからは私は署内にいるよ。コンビはそのままさ」

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『刑事アン&ラッキー』担当事件はすべて迷宮入り? 笹 慎 @sasa_makoto_2022

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