サイコロふたつ振り出して【KAC20236・アンラッキー7】

カイ艦長

七が出るのはラッキーなのか

 野球において七回は先発投手が疲れを見せ、打者もボールに目が慣れてくる。

 だから打撃陣にとっては「ラッキー7」であり、守備陣にとっては「アンラッキー7」と言えなくもない。


 それとは別に「七」はなにかと優遇される数字である。日本で末広がりで「八」が持て囃されるが、西欧では断然「七」なのだ。

 それは旧約聖書で「七日目が安息日」という聖なる日とされているからである。

 信仰の篤い教徒は日曜日に仕事をいっさい入れないといわれるほどだ。プロスポーツ選手であっても、日曜日は試合に出ない人もかなりの数いるのである。

 だから本来日本人は「七」を特別視する必要はない。


 だがパチスロで’「七」が三つ並ぶと大当たりとなって打ち手を喜ばせるのだ。日本人なら「八」ではないのか、と思うのだが、そもそもスロットマシンは欧米発祥だから、ラッキーといえば「七」なのだろう。


 テーブルトークRPGにおいて、六面ダイスを二個振って合計「七」になるのは六分の一の確率である。ゾロ目が出るのも六分の一の確率である。つまりそれぞれ六面ダイス一個を振って一を出すのと確率は変わらない。だが合計「七」とゾロ目の印象が強いのは、ふたつを合わせた確率が三分の一だからだろう。


「タカシくん、通路でなにかのスイッチを踏んだみたい。セービングロールでサイコロ二個振って。合計「七」だったら自動的に失敗だからね」

 そんなルールがあっても不思議はない。なにせ確率六分の一なのだから、誰にでも公平なのである。


 「七」も今では日本でもラッキーな数字となっている。

 しかしそれは誰にとっての「ラッキー」なのか。それはきちんと把握しておきたい。

 ゲームマスターにとってのラッキーは、多くのプレイヤーにとっての「アンラッキー」といえる。プレイヤーはゲームマスターの手のひらで踊らされているにすぎない。


 だからこそ、今日もサイコロは転がり続ける。

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