「春夏秋冬は明日へ去る」杜松の実様

「春夏秋冬は明日へ去る」

著:杜松の実様


https://kakuyomu.jp/works/16816927860825840714


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 「山の赤えんぴつ」と呼ばれる塔でひととせ(一年)の一生を過ごす少女の物語。冬に目覚めた彼女は、春、夏、秋、そしてまた冬の時間を過ごします。


 読み始めて最初に思ったのは、「いや、これ4Kのドキュメンタリー?」でした。笑

 そのくらい、情景が鮮明で情緒たっぷりです。本当に目の前で少女が生活をしている様子が浮かびます。淡々と、でも一日一日を大事に生きている、そんな感じが伝わってきました。


 そして本作でいいなあと思ったのは、少女が年齢を重ねていく様子が少女をさす言葉で表現されていること。

 春→女の子

 夏→女、彼女

 秋→彼女、老女

 冬→女の子

と使い分けることで、少女が季節とともに歳をとっていくのが表現されています。主人公をさす言葉がひとつのお話で変わっていくのって珍しいですし、少女の容姿に言及されていなくても美しく成長し穏やかに歳をとっていく様子が伝わってきて、とても新鮮に感じました。


 あと、途中で挟まる歌! こういうの性癖なんだよな〜!笑

 彼女が最後に涙を流しながら歌う場面は、人生という物語の終わりを感じさせて、切ないながらもとっても好きなシーンです。

 これは個人的な好みなんだけれど、引用されてるのがサカナクションというところにもグッときた。サカナクション好き。


 「著者のおすすめは二周読むことです。」とあらすじに書かれた本作。これは本当にそうなのでぜひ二回読んでみてください。季節や人生が巡りめぐる感覚が味わえます。


 杜松の実さん、企画へのご参加ありがとうございました。

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高村芳 自主企画記録 高村 芳 @yo4_taka6ra

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