「I____you」

著：森山満穂様

https://kakuyomu.jp/works/16816452219214896588

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　女の子たちが“ある言葉”を忘れてしまった世界で、お互いを想い合う二人の男女のお話です。この世界の片隅にありそうでない、不思議な世界観です。

　読み終わった瞬間、なんて切ない話なんだ……！と余韻に浸ってしまいました。

　読み進めていくとたいていのひとは「ああ、忘れてしまった言葉っていうのはアレだな」とおおよそ見当がつくと思うのですが、その言葉の上位となるであろう「愛してる」は主人公も覚えてるんですよ。でも主人公が抱いている感情は「愛してる」じゃない。だから言わない。でも、本当に伝えたい言葉はわからない。

　その主人公側の心情だけでなく、相手の男の子の心情も鮮やかに描かれているのがいいなぁ、切ないなぁと思いました。自分は主人公の女の子を＿＿だから、＿＿って伝えるけど、主人公にその言葉は伝わらないし、主人公からその言葉は聞けないんですよ。本当は聞きたいのに。でも彼も、主人公から「愛してる」なんて大それた言葉が聞きたいわけじゃない。この絶妙な距離感が、まるで真夜中の月明かりのように静かで美しい世界観の中でひっそりと息をしている。そんな物語でした。

　めちゃくちゃ語ってしまった、作者様でもない一読者なのに。苦笑

　短いけれど、オススメの作品です。

　企画にご参加いただきありがとうございました。