小さな恋のうた

小学生で十二歳の茉莉の初恋相手は、一回り年上の親戚のお兄ちゃん。

一学期の終業式の日に六年ぶりに会ったその人は、すっかり大人になっていた。それでも変わらぬ優しい笑顔は茉莉を悶絶させてしまう。

四日間の滞在だけど、茉莉にとっては独り占めできないのが不満なようで。ドライブの約束も先送りに。

『兎年同盟は嘘をつかない』

そんな約束をしてくれたお兄ちゃんに、幼い頃から抱いていた初恋が再び動き始める。

六年越しに再燃した、小さな小さな恋のうたが、時代を超えていく物語。