第42話 謎のアイテム

ボスフロアに入っていく。


イザナミは人の形をしており空中に浮かんでた。


"あれどうやって浮いてんの?"

"分かんねwww"

"ガチでどうやって浮いてるんだろうなwww"

"俺も浮きてぇぇぇぇぇwww"


ふぅ……深呼吸ひとつして剣を向ける。


「アァァァァ……」


そんな鳴き声を俺に向けてくる。


カタカタカタカタカタ。

よくゲームで聞く、ガイコツが動く時みたいな音を鳴らしながら俺を見る。


"これはホラゲー"

"急にホラゲーになっとるwww"


俺はイザナミに向かって歩いていく。


今までに戦ったどんなボスやモンスターよりもビシビシとした殺気が俺に突き刺さる。


「どうするの?」


俺の横を付いてきながらそう聞いてくるニーナに答える。


「デキルコトヲヤレ」

「えぇ、分かったわ」


冒険者であるならこの言葉だけで自分がなにをするかは分かる。


「パラライズ!」


ニーナがそう叫ぶとビリビリした電気がイザナミに飛んでいく。


"効くのか?"

"ヤマタノオロチには効いてたし……いけるんじゃね?"

"つーってもラスボスだろ"


チャットが言うように


バシッ!


魔法が弾かれてた。


「あれだ……」


ニーナが指を指した。


「イザナミの指にハマってる指輪。あれが私の魔法を弾いてる」


だからどうにかしてくれ、ということだろう。


特に恨みはないんだけどな。


まぁ、こいつ倒さなきゃこの先に進めないわけだし。


イザナミに駆けよる。


「アァ……」


魔法を使ってきた。


黒い風のようなそんなものが飛んでくるけど。


「アマイ」


ザン!


下から上に剣を振り上げてその魔法すら消し飛ばす。


"魔法斬ってて草"

"こいつに斬れないものってなにがあんのwww"

"イザナミ「せっかく魔法使ったのに」"


そして


「アァ……」


指を切り落とした。


その瞬間、イザナミが開いてた方の手で俺を殴ろうとした、そのとき。


「パラライズ!」


バチィッ!


完全に効果が出てるわけじゃないけど。


パラライズの効果が出てるようだ。


動きが極端に遅くなった。


(こんなにモンスターの動きが遅いのは初めてだな)


後ろを軽く振り返る。


たぶんニーナが魔法を使ったからなんだろうけど。


(二人いるとこんなに楽なんだなぁ。いつもソロばっかだったから知らなかったけど)


「早くやりなさいよ」


俺に『助けて般若ちゃん!』って言わせるつもりはなくなったのかもしへない。


それか意外と面倒見がいいのか。


まぁ、どっちでもいいけど。


イザナミに近寄って口を開く。


「ジャアナ」


イザナミの首が飛ぶ。


"【速報】イザナミさん実質ワンパン"

"固有ダンジョンのラスボスもワンパンかよwww"

"これもう伝説だろ"

"伝説以外を探す方が難しくないか?"


その時だった。


ザ、ザー。


(ん?)


配信が切れた。


「なんだなんだ」


配信が途切れたっぽい。

チャットも止まったし、何より。


ライブ配信画面がずっとクルクル読み込み状態のままだし。


ニーナの顔を見てみたら。


「こっちも端末止まってるよ。ネットがだめみたい」


とのこと。


「んー……」


原因は分からないけど。

ここだいぶ町とからは離れてるから、その影響だと思う。


「とりあえず帰るか。攻略は終わったし」


俺たちの前には丁度扉があるわけだし。


イザナミを倒したことで開くようになった扉が。


と、その前に。


「ドロップ確認くらいしとくか」


イザナミの死体の周りに目をやってみると、キラリと光る者が落ちていた。


(なんだこれ)


近付いて拾い上げてみると。


【魔法無効の指輪】


というアイテムだった。

名前の通りらしい。


それを回収して俺はクリアルームの方へ向かう。


ニーナが近寄ってきた。

そんなニーナにとりあえず礼を言っておくことにしよう。


イザナミの動きを遅くしてくれたワケだし。


「その、サンキューね」

「なにが?」

「パラライズ使ってくれたじゃないか」

「いちいち、いいよ。仲間でしょ?やれることをやれ、言ったのあなただし」


まぁ、それはそうだけど。

働きに礼を言うのは普通じゃないかなぁ。


「とにかくありがとうね。すごいパラライズだったよ」


そう言うと顔を赤くするニーナ。


「なに?さっきから」


その様子を見てて思うことがある。


「もしかして褒められることってあんまりない?」

「あ、当たり前でしょ?あんなの朝飯前だし」


とは言われてもね。


「朝飯前でもなんでも礼を言うのは当たり前だと思うよ」


そう言って俺はクリアルームの方に歩いていく。


クリアルームに入ると、いつだかに見た台座みたいなのがあって。


(たしか、前回称号みたいなのが貰えたよな、これは)


確認の意味も込めてニーナに目をやる。


「うん、称号を付与する台座だと思う」


俺はそれにカードをかざした。


すると


【国産みを初めて見た者】


みたいな称号が刻まれた。


「これだけ?」


と思った。


んで、その後ニーナが同じように冒険者カードをかざすと。


【国産みを見た者】


とだけ刻まれていた。


(初回クリア者には初めて、ってつくのか?)


「どうやら初めての人は特別扱いらしいね?」


ニーナも同じことに気付いたらしい。


「でも、すごくない?これ。その称号を持ってるのって、世界で君だけなんだよ」


改めてそう言われると。


「うん、たしかにいいかもしれない!」


そう思う。


だって、自分が初めてだもん。


このダンジョンを初めて攻略して、その証拠も残ってる。


「でも、これだけじゃ他のダンジョンとあんまり変わらないね」


思ったことがついポロリと口に出た。


ニーナが期待するようなことを言ってたからもう少し他のダンジョンとは違うものがあるのかなぁって思ってたけど。


「どうやらそうでもないみたいだよ?ほら」


そう言ってニーナが部屋の奥を指さした。

そこには


別の台座があって。

その上では


ポォォォォォォォォォッと光を放つ謎の玉があった。


「なにこれ」


気になって手に取ってみると。


【???】


というアイテムを手に入れた。


端末で調べて見ても名前が出てこない。


未知のアイテムっぽい?


「名前が分からないんだけど」

「これは初めての発見だね。私だってこんなの見たことがないよ」


その言葉を聞いて思う。


初めての事ばっかりだけど、こういう名前が不明のアイテムを手に入れたのも世界で俺が初めて、ということか。


「もういい?」


ニーナの顔に目をやって聞いてみた。

初めての固有ダンジョンの攻略。


なんだか呆気なく終わってしまったけど、クリアしたものはクリア。


それで今クリアルームにいるけど、


「これ以上やることもないなら帰ろっか」


ニーナが頷いたので僕は転移結晶に触れることにした。






あとがき

書くのが追いついてません。更新ペース落ちます。

読者の皆様、ごめんなさい。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

学校で俺をいじめてくる奴をダンジョン内でボコったら、いじめっ子が有名な迷惑系冒険者だったらしく、俺は異様に持ち上げられてます。それからいろいろあって配信始めたらバズりました にこん @nicon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ