物語が運河の波音とともに全身に打ち寄せてくる

そんな摩訶不思議な読書体験でした
圧倒的な描写力によってつむぎ出されるリアリティは私を酩酊させ、憑かれたように毎夜人目を忍んで『隻脚娼婦館』に通わせたのでした
今ではすっかり居着いてしまい、軒先で占い婆をして生計を立てております
はい、今年で108歳になりました
この義足はカラクリ仕立てになっておりましてね、このダイヤモンドのツマミを199度回しますとね、ほらほら老婆がくるりと稀代のドン・ファンに早変わり〜
……というようなわけの分からないなりに何かとても切実な思いを秘めた妄想をしてしまうほど、奇跡的に素晴らしいお作品でした
この出会いに感謝いたします