筋肉を見つけたい

まめでんきゅう–ねこ

覗き見してただけなのに

俺の学校には、マドンナ的存在のみなみという人がいる。


茶髪で右目が黒、左目が茶色とかいうクッソ珍しい見た目だ。


成績は良い、運動神経も良い、顔と性格も良い。全て良い。


逆に悪いところを言えと言われたら、めちゃくちゃ時間がかかるだろう。


そんな皆んなから慕われている彼女には、ある噂があった。


それは、筋肉がめっちゃあることだ。


彼女は一見、細く、筋肉なんてもんはほとんどないように見える。


しかし、それでいて運動神経抜群なのには、確かに少し疑問になる。


そこで、クラスメートに頼まれた。


「お前の家、南の家の向かい側だろ?覗いてきてよ。筋肉があるかどうかさ」


って言われた。


覗き見なんて良くないと思うが、報酬に釣られて引き受けてしまった。


報酬は、卵だった。


最近卵が値上げされていて、困っているのだ。


今思うと、なぜ引き受けてしまったのだろうか。


値上げ事情なんて、小学6年生の俺にとっては全く無縁の話。


しかも卵が好きというわけでもないのに。


めっちゃアホだな、さっきの俺。



まぁ、引き受けたのだから、本気でやろうじゃねぇか。


というか、普通に筋肉あるかどうか聞けば良いことなのに。


いや、まぁ聞きにくいのだろう。


とりま、俺の部屋は2階。彼女の部屋も2階。窓も向かい合わせになっており、覗き見するには十分すぎる立地だ。


俺は誰よりも早く学校から帰って、南が帰ってくるのを待った。


双眼鏡とアンパンと牛乳を片手に。


大人だったら間違いなく警察に連れていかれるだろうが、俺は今子供だ。それに今日は誰も家にいないし、やりたい放題なのだ。



おや、南が帰ってきた!


「ただいま〜」


ガチャッ


すぐに2階へ行くだろう。ほら来た。


ランドセルを置くと、彼女は背伸びした。そして何か準備しているようだ。


⁉︎……着替えだ!!!!!!


筋肉があるかどうか見るには絶好のチャンス!


双眼鏡を持つ手に力が入る!




…………服を脱いで、チューブトップブラ姿になった彼女に、筋肉なんてもんは存在しなかった。


「え?」


思わず声で出てしまった。


しかし無理もない。本当の本当に筋肉なんてもんは存在しなかった。


嘘でしょ⁉︎⁉︎


上半身に無いのならば、下半身か?


しかし、全く見当たらない。


え、あのほっそい足と腕で、我々の運動能力プライドをへし折ったとでも言うのか⁉︎


アンパンを持っていた手に力が消えた。


ボトッ


やがて南は、白衣を着た。


白衣??????


そして、机の角にあった置物を持ち上げると、なんと彼女のベッドの中から巨大な棚が出てきたのだ!


「え?」


その棚には緑の薬品のようなものが入っていた。南はそれを飲む。


「ふう、よし」


そして宿題に取り組むようだ。


しばらくは大人しくできそうだと思ったら、彼女はもう終わったようだ。


「早っ⁉︎」


そして、パソコンのようなものを机に置くと、何やら作業に取り掛かり始めた。


何をしているのだろうか?


20分くらい経ったところで、彼女はパソコンを閉じ、こう呟いた。


「もう少しで完成するかな」


何が完成するのだろうか?しかしそこまでは言ってはくれなかった。


しかも、彼女は外へ遊びに行ってしまったのだ!


パソコンの内容が気になりすぎて、このままでは眠れない!明日のテスト0点に間違いない!


ならば、最終手段を使うしかない!




ピンポーン


「はい。ああいらっしゃい、つかさくん。何の用ですか?」


「南が忘れ物したので、届けに来ました」


「え、本当⁉︎ありがとうね。ああそうだ、親戚からメロンが届いたからさ、食べていきなよ」


「ありがとうございます」


俺は南の部屋に侵入することに成功した!


さぁ、あのパソコンを見ようではないか!


「えっと、確かあいつのパスワードは」


カチカチカチカチカチカチ


出た!これだ!


読んでみよう。………………?




















「『犯罪者予備軍処理用兵器』のプログラム?」


ガチャッ


「はぁ疲れた。さっきの続きしy………司?」

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