英単語

第1話 meat head

「お前ほんと頭の中筋肉ばっかだな！」

「うるせぇ。俺は筋トレを好きでやってんだから、良いんだよ。お前は逆に勉強ばっかしてるじゃねぇか！」

「だって、俺たち受験生だぞ？勉強ばかりじゃなくて、これが普通の受験生の在り方だと俺は思うぞ？」

「…お前これからどうするんだよ？大学行かないのか？」

「筋肉が鍛えられる学校あるかな？」

「ん～。ぱっと浮かぶのは、スポーツ学科とかかな？調べてみたら良いじゃん。」

「うん…。」

「ぶっ！」

「何どうした！？」

「今英単語やってるんだけど、筋肉バカって英語でなんて言うのか気になって調べたらさ…。」

「な、なんだよ？」

「meat headだって、ぶくくくくっ。」

「何だよ、それ！？直訳すると肉頭ってこと？ひっでぇ。」

「他にはmuscle idiot、muscle headだって！あはははは！」

「まだそっちの方がマシじゃね？meat headは良くないぞ！」

「これでお前も英単語一個覚えられたな！」

「うん…ん？ってかさ、そんな単語絶対試験に出ないっしょ？必要ねぇ単語覚えてどうすんだ。」

「まぁ、まぁ。落ち着け。お前もmeat headって呼ばれたくないなら、そろそろ受験に備えて勉強しようぜ！って事だよ。」

「…何か良くわからんが、分かったよ。ちょっと真剣に進路考えてみるわ。」

「おう！頑張れよ！」

こうして俺の友達は俺との些細な会話から、真剣に進路を考えるようになり、パーソナルトレーナーを目指すことにしたそうだ。

数か月が経ち、互いの志望校の合格発表の日。

同日に結果が分かるのは結構緊張するな…。俺は緊張しながら貼りだしてある掲示板へ行った。

「362…362…。よし！あったぞ！」

俺は急いであいつに電話をかけた。

「俺受かったけど、お前は？」

「俺も受かったよ！お前のおかげでmeat headにならないで済みそうだぜ！」

明るい未来を思い描いて二人で笑った。