ダイエットの果てに
歩
第1話 そう、第1話!!
うわさはうわさでしかない。
そうは思っても、信じないわけにはいかない。
女の子は!
彼の好みは何より、すらっとしているスタイルのいい子。
それを聞いた瞬間が、ダイエットを決意した瞬間!
何でもやるのが、恋する女の子!
お母はんに嘘いってジムにも通わせてもらって。
あとはそこで指導されたとおり、食事制限、運動も。
さらにもっと自分でも、がむしゃらに!
みんなにはなんか、ニヤニヤされている。
きっと、分かっているんだろうなあ。
恋の相手も。
……ああ、振られちゃった。
やっとダイエット成功!
自信もついて、今こそ!!
まさか、
「スリムな子は好きだけど、筋肉って、ちょっと……」
やりすぎた。
勝手よね、男なんて!!
女なんて、もっと。
信じられない!!
みんなにも慰められたけど、一番最悪なのは、一番慰めてくれたメグが、実は……。
もう、男性どころか、人間すべてに不信感。
世界が何か、まっくら。
あ、電車来た……。
いっそ、あれに飛び込んじゃおうか?
……そんなバカなことしないけど。
「危ない!」
え?!
誰か、落ちちゃった?!
あ、ああ……。
ダメ!
そんなのやっぱり、ダメだ!!
私は必死だった。
きっとこの場で一番のことは、駅員さんを呼ぶこと!
もっともっと、大事なのは……。
考えるだけ、無駄!!
体が先に動いていた。
まさか、こんなところでダイエットの運動効果が出るなんて!
足も速くなったし、筋肉も付いた。
だからとっさにも動けたし、小さな彼を引き上げられた。
「バカッ!!」
人の少ない時間帯。
平日午後。
動けたのは私だけ。
引っ張り上げたら、彼は大泣きしていた。
わんわん泣いて、情けなくて。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
駅員さんに連れていかれる背中がやけに淋しくて。
後日、親御さんに連れられて謝りに来たけど、私を見る目って。
おんなじ。
ちょっと前までいつも鏡に見ていた顔と同じ。
年下の男の子、か……。
それもいいかも。
ダイエットの果てに 歩 @t-Arigatou
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