【KAC20235】〇〇長者
赤ひげ
わらしべでは長者にはなれない
むかしむかしあるところに、真面目で正直者、かつ筋肉の鎧を纏った運の悪い男がいました。
いくら働いてもプロテインと筋トレグッズにつぎ込んでしまい貧乏から抜け出せない男は、神頼み……そうお堂に足を運び観音様にお祈りをしたのです。
すると観音さまが現れ、お堂を出た時に初めて手にした物を大切にするよう言われました。
訝しげに観音さまに目を向けつつも、男がお堂から出ると途端に転んでしまいます。
その時、手にしていた物。
そうです。
自身を守るために丸くなったため、その手は自身を包み込んでいたのです。
「我が道を進めということか……」
観音さまの言葉を疑った自分を恥じながら、男は歩み始めました。
すると、道すがら赤ん坊を抱っこした母親に出会いました。
赤ん坊は泣きやむ気配を見せず、母親は困った様子です。
そこで男が『
母親が頭を下げながらお礼にと、三つのみかんをもらいました。
母親たちと別れ、男がさらに歩いていくと今度は身なりの良いお嬢さまが木陰でうずくまっていました。
話を聞くと彼氏に二股をかけられていたことが発覚し落ち込んでいるとのこと。
そこで男が『
「人に話してとても気が楽になったわ」
と言いながら、お礼に見た目からしても高価な絹の反物をくれました。
お嬢さまとも別れ、男が歩みを進めていくと今度は死にかけの黒馬の側で佇む男がいました。
出会った男は強引に高価な反物と死にかけの馬を交換しようと交渉してきますが、『
男は死にかけの馬を見捨てることはできず、プロテインを飲ませ献身的な介護をします。
すると馬もすっかり元気を取り戻し、体躯も心なしか1.5倍ほどになりました。
男が黒馬に乗り道を進んでいくと城下町にたどり着きました。
城下町を歩いていると、男が連れている黒馬を大層気に入った長者から千両でそれを買うとの申し出を受けます。
ですが、すでに寝食を共にした言わば相棒。
値段を付けるなどとんでもない。
男は黒馬の上から『
男は驚きのあまり、『
そして男が気が付くと見慣れない立派な屋敷で寝ており、長者の娘が看病をしているところでした。
さらに驚くことにその娘は『
長者は顔見知りな上にこんな誠実かつ、筋肉を纏った者は他にいないだろう、ということで娘を嫁にもらってほしいと男に言いました。
長者の娘も頬をそめながら俯いており男はその申し出を承諾し、男は美しい嫁を持つ筋肉長者と呼ばれ、末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
この童話から読み解ける教訓
『筋肉でだいたい解決する』
【KAC20235】〇〇長者 赤ひげ @zeon4992
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