終節:苗木

 暗い地下牢では、石壁にオイルランプが吊るされる。その薄明かりの炎が貧弱な可視範囲を作り出している。その間を縫うように、二つの人影が移動している――

 先頭の男はある独房の扉の前で立ち止まり、「ここです、猊下」と指差した。

「開けろ」猊下と呼ばれる男はそう命令したが、扉を開ける権限を持つ男はすぐにはそうしなかった。彼はただ手の甲をこすって期待に胸を膨らませている。

「おっと、忘れるわけにはいくまい」猊下と呼ばれる男は金貨を一枚取り出し、相手に手渡した。

 男は満足げにコインを手に取ると、ポケットから一本の鍵を取り出して独房の扉にかけている南京鍵を開けた。「ごゆっくり。上で待っています」

「ここで待ってろ。すぐ終わるから」と猊下と呼ばれる男は去ろうとする男に声をかけた。彼がその場に留まっていることを確認すると、木戸を押し開け、戸軸の音を挨拶の代わりにして中にいる者に彼の来訪を知らせた──

 漆黒の独房の中には一人しかいなかった。彼は扉に向かって座っていて、この「大物」が用件を述べるのを静かに待っている。

「ゴリアテ・ベルソンだな、その名は聞いている」猊下と呼ばれる男は犯人の名を呼んで、そして自己紹介をした。「我は祭司庁の第六祭司、バシャ・アスタロトである」

「フララララ! 祭司庁が俺のことを知っているのか?」

「然り。一昨日の新聞にも載ったぞ。少女に負けたと書いてある」バシャが話し終えるやいなや、ゴリアテの体から血色の霧が大量に噴出した。

「フラ……口の利き方に気を付けろ。俺はもう一つの殺人罪を背負っても構わないぞ」ゴリアテは小指も動かさず、その手首を拘束するチェーンが耳をつんざくような金属的な擦過音を立てた。

 祭司は相手の昂ぶる血気に臆することなく、逆に喜びのあまりに口角を上げた。彼はゴリアテとわずか二歩の距離まで歩み寄った。「お前に仕事を紹介する。それを完遂すれば、お前は自由だ。どうだろう?」

 その言葉を聞いて、ゴリアテは自分の目の前にいる男を見直した。「どんな自由なんだ?無罪放免か?それとも追放か?」

「それはお前の腕次第だ」バシャは彼を挑発すると、泰然自若と振り向き、突然立ち上がって自分の背中を見つめている、渇望する獣を無視した。

 祭司は独房から出ると、扉のそばにある小さな木を見て、それが成熟していることを確かめた。そのてっぺんはちょうど天井と同じ高さであり、根は床のタイルにしっかりと食い込んでいて、葉は地面に落ちるほど青々としている。バシャは我慢できずに、その正面にある歪んだ模様を観察した。そして、満足げにうなずいた。

 バシャは自分の手のひらを水平にして、人間の右手に見える木の枝の前に伸ばすと、木の穴から現れた小さな蛇は主人の手のひらに移動し、とぐろを巻くと同時に金貨に戻った。その後、祭司が枝の間に手を突っ込んで、黒っぽい結晶の塊を一つ摘み取った。

 バシャは独房に戻って、同時に「ハモルの子、シェケムの勇士よ!我の贈り物を受け取り、あなたの仇敵を殺しに行くがよい。イサクの子よ、恥を洗い流すのだ!」と叫んだ。

 そう言い終えると、『果実』をゴリアテに手渡された。「さあ、新鮮な貪欲の実だ。魔獣水晶などはこれに比べると未完成品に過ぎん」

 ゴリアテが困惑して、贈り物を受け取るのをためらっている顔を見ると、バシャは狡猾な笑みを浮かべた。「これを食べて、オメガのソプティムとその娘の殺害に協力した後、お前は永遠に自由だ」

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魂の羽|ラビの娘 蕾蕾亞拿(レイレイ.アンナ)/KadoKado 角角者 @kadokado_official

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