雨の形をして別れはやって来る。

傘は溶け、顔を濡らす。

胡乱なまま駆ける地面は、死体の山。

喉から死んだ音がする。

熱い、熱い。

思わず吐き出す、魚が溢れる。

虚ろな瞳で私を見るな。

ああ足を運ぶ、千鳥足で走りにもならない。

涙が滑り落ちていく。

言葉にならない音を吐く。

魚は増えていく。

何が悪い、何の所為だ?

私が悪かったのか。

途端、躓いて膝をつく。

視界の正面に顔が覗く。

貴方の死体だ。

瞬間、声が暴れる。

言葉にならない音を吐く。

魚は動きを止める。

何の所為だ?

世界が悪かったのか?

魚は異臭を放つ。

貴方の死体を抱き抱えて、何を為せばいい。

どうすればいい。

どうすれば良かった?

貴方の死体を抱き抱えて、立ち上がろうと、

よろけて、倒れる。

最早苦しみも感じない。

言葉も声も音も無い。

続きも無い。

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細波が逃げていく 春乃よど @yodo77

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