家族みつけた

冴木さとし@低浮上

最終話 近所の学生が犯人だったらしいよ?

 妻と大喧嘩した。

 マヨネーズの賞味期限がきれていたというのが原因だ。買い置きしてないと聞いた俺はつい「ブランドものばかり買ってないでマヨネーズくらい買っておけよ」と悪態をついた。

「あなただってもっと子供たちと遊んであげて。可哀そうよ」と妻は言いだした。

「今、子供たちは関係ないだろう!」と俺。

「私が何を買うかも関係ないでしょう!? なんでも私に押し付けないで!」 


 と、まぁこんな具合にどうでもいいことをきっかけに大喧嘩。あげく俺は「胸くそ悪い」と捨て台詞を言い残しそのまま家をでた。


 当然、食事もしていない。喧嘩のもとになったマヨネーズでも買って帰るか。ついでだし頭を冷やすかな。深夜の散歩としゃれこもう。今すぐ帰ってもまた喧嘩になるだけだ。


◇ 

 

 冷静になってみれば俺の言い方も悪かった。妻の苦労も考えず余計なことを言い出したのは俺だった。妻は俺のことを考えてくれている。ほんと10年も前に比べたら、俺好みの料理を作ってくれるようになったんだしな。


 家事全般の上に子供たちの面倒だってみてくれている。それを考えれば感謝するべきだし言い過ぎた。散歩途中に寄ったコンビニで喧嘩のもとになったマヨネーズと、お詫びに妻の好きなワインとおつまみを買い、それを片手に家に帰ると我が家が燃えていた。


 どういうことだ!? あんな別れを最後になんてしたくない。あの捨て台詞が最後の言葉になる? もう2度と会えない? もう謝ることすらできないのか!? 売り言葉に買い言葉で妻を罵ったことを後悔した。そんなことを考えながら俺は必死に妻と子供たちを探した。


「「パパ~!」」

「あなた!」

 という声を聞いて俺は安堵のため息をついた。あんな言葉を最後に家族を失っていたかもしれない、と想像したら怖くて震えた。


「お前たちが生きていて本当によかった。それだけで幸せだ!」と家族を抱きしめ俺は心の底から叫んでいた。 



 終

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