魔王様の絶対ぐちゃぐちゃ宣言!!
海星めりい
魔王様の絶対ぐちゃぐちゃ宣言!!
「ふはははははっ! ようやく来たか! 待ちわびたぞ!」
漆黒のような黒い髪を両耳の上で三日月のように結い上げた少女は高笑いをすると、黒曜石じみた瞳を煌々と輝かせた。
全身から抑えきれない感情が迸っているのか、少女は大きく手を振るう。
「まずはこれよ! トルネードサイクロン! 我が手の思うがまま翻弄されるがいい!」
「続けて、グラビティフォール! 何ものにも逃れられぬ力に為すすべなく落ちていけぇい!!」
少女の意のままに操られ、翻弄され空中から落とされていく。その一連の行動はよどみなく、まるで流れ作業のようにも感じられる。
「そのまま、ヘルフレイムにて焼き尽くしてくれる……む、まだ抗うか」
と、落下しきったところで少女が眉根を寄せた。どうやら、想定外の事が起きたらしい。
だが、次の瞬間には獰猛な笑みへ変化していた。
「そうでなくては、面白くない。アイアンカッター!」
少女の声に合わせて手元には鋼鉄の刃が二本。
「そらそらそらぁ!! 」
少女はそれを手足のように操り、ひとしきり翻弄したところで――
「もう一ついくぞ? タイダルウェイブ!」
少女の声に合わせて、液体が迸る。
加えてアイアンカッターの攻撃は続いている。
決して手を緩めることなく数分……少女はようやく手を止め、自分が起こした現状に対して満足げな表情を浮かべたのだった。
「だから、コイツとくるの嫌なんだよ……」
「でもねぇ、私らがやるより美味しく出来るのよねぇ……〝もんじゃ〟」
「そうだけどさ。個室だからって、防音ってわけじゃ無いじゃん? あむっ、うん腹が立つほどいい焼き加減――ホント普通に焼いてくれればね」
少女の一連の行動を見ていた姉と母親は揃ってため息を吐く。
しかし、美味しく綺麗に〝もんじゃ〟を焼き上げた少女(一三歳・次女)はそんな二人など気にも止めずに再びの高笑いを決めるのだった。
「完璧ではないか!! ふははははははっ!」
魔王様の絶対ぐちゃぐちゃ宣言!! 海星めりい @raiki
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