第10話「記憶喪失の彼女」

ラナは記憶を無くして城を追われ、行くあてもなくさ迷っていた。私は誰なのか、何故城にいたのか?何故、……。全く分からない。よろよろと街を放浪しているとミシェルの使用人、ローズにであう。


「あら、こんな所で会うなんてきぐうですね。ラナ様。」


「……貴方はあの時部屋にいた……。」


「ローズです。」


「助けてください!」

ラナはそう言って膝まづいた。


「助ける?何を?」


「記憶もないし、お金もなくて、どうやって生きていけばよいのか……。」


「あら、なら、お城で暮らさない?」


そこにひょっこり現れたのはミシェルだった。お忍びで城下へと遊びに来ていたのだった。


「お城で?」

「ええ、貴方の魔法の力は強大ですもの!きっと役に立ってくれるわ!」


「わた、わたし!頑張ります!!」


泣きながらそう言うラナにミシェルは優しく手を差し伸べるのだった。

ラナはお城でたくさん働いた。そして多くの人の役にたったのだ。


「ミシェル様、午後のご予定は……」


「ええ、存じております。」


「ミシェル様、本当に私を拾って下さってありがとうございます。」


「いえ、こちらこそ、いつもありがとう。」


ラナの記憶は戻る事はなかった。戻らない方が幸せなのだろう。こうしてラナはミシェルとロンの城で暮らすのだった。

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悪役令嬢の国外追放から始まるほのぼのライフ~もうひとつの物語~ ユキア @yukiasama

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