後頭部のツボを押した時に「致命的なエラー CXID0021」が発生する欠陥があります
脳幹 まこと
人生とはツボのようなものである。高価であるが落とせば終わる。
勉強疲れの解消のために、後頭部のツボを押したら、ずぶずぶと親指が根本までハマってしまった。
冷静になって引っ込めればまだ良かった。なのに、かつてないほどパニクった私は親指を力任せに振り回してしまった。
それが私のおそらくは大切な部分を剥がしてしまったのだ。
ふわふわとした感覚、すべてがちりぢりになってまわりにひろがってゆく。
・
気付くと私はOLになっていた。OLって何をすればいいのだろう、お茶汲みとか? コピー取ってみるとかそういうのかな。私は数学の勉強をしながら会議室へと向かう。
博士は言った。「ひも理論の探求は私の長年の夢である。二次方程式はてつはうと同時に開発され、ルロイ修道士は親指を立てた。さて、たかしくんの半減期は一体いくつになるか?」
眠くなる。会議というのはどうしてこう眠いのだろう。結論から先に言ってほしい。コミットメントしてほしい。私はアジェンダを通行人に渡す。
「どうしたんだ、
選挙が近い。
私は大統領に立候補した。黒き泥舟ブラック・ワンダー・スワンとして。
ピュイーンという起動音。縦長の画面でグンペイをやる。繋げて消すのがグンペイだ。折れ線の私と斜め線の私を5本揃えると
「OK!」というボイスとともに私は爆発する。これで500点だ。
「課長、来季の予算ですが」
「ばっかもーん、精神的に向上心のない者はばかだ!」
そうやって課長は私のプレゼン資料を通行人に渡してゆく。
そんなことしたら、そんなことしたら、
わしはおじいちゃんになってしまう。
ブルに刺さってロートンになる。
「課長! ダーツお上手なんですね」
当たり前じゃろ、わしを誰だと思うとるのか。グンペイじゃぞ? 繋げて消すのが得意なんじゃぞ。
ついでにわしが弟と違うところがひとつある。わしはよく嘘をつく。
「廉太郎! 廉太郎! くそ、口から泡吹いてやがる」
そう、我こそはケンタウロス。
上半身がケンで、下半身がウロスの、ケンタウロスなのだ。
疾走する我の体は有楽町線よりも速い。各駅停車よりも速く、重力加速度よりも遅い。
動摩擦係数は一体如何ほどなのか。
それともそんなものはないのか。ない。ないといえば、
今日はブラック・ナイト。黒い夜だ。
花鳥もまた、風月がなければ、寂しいものよ。
そんな時だからこそ歯周病予防。
冷静になって引っ込めればまだ良かった。なのに、かつてないほどパニクった私は歯ブラシ
血がダバダバ出てくると同時に有効成分ジエチルエーテルが迫ってくる。
酸化還元反応とともにエムピーが半減する。
わしは回復のために画面端で弱キックを連打する。
対戦相手が
しかし同時押しはTスピン。異性体はシストランス、
しかし、どうしてわしは藤原道長なのだろうな。摂関になって、わしは一体どうしたいというのだろう。
お願いじゃ、この思い、みんなに届け。
わしは十二単を
「我が社の経営理念について、今一度理解していただく必要があります。それは、てんのかみさまのいうとおり、てつはううってばんばんばん。でございます。わしの名前は
永遠の闇。
またの名をケンタウロボロス、巡廻する外回り山手線。
「廉太郎の体がガクガク
ところで私はマッサージチェアに座っている。
3ヶ月分の給料で買った高級品だ。振動がすごすぎて酔いそう。
部長のことを思い出した。あの見ただけで酔いそうなあの顔のことを。
なんで、広告スキップが出来ないときだけ長ったらしい広告が流れるんだろう?
あの顔と出会ったのは、およそ3ヶ月前のこと。
あ、この人「∫」みたいな顔してるなと思った。
その「∫」が突然迫ってくる。愛の告白をしようと躍起になっているらしい。
当時私には予知能力があった。告白をするタイミングもわかっていた。
しかし、最後に物を言うのは動体視力である。目押しするしかない。
愛が迫ってくる。
愛が
愛が
愛が
アイガーアパカッ!
強烈な対空攻撃により、部長はうーわうーわうーわとエコーをしながらもゆっくりと地面にめり込んでいった。
leftの過去分詞は
お通しでコンプライアンスの素揚げが出てくる。
サクッとする良心の衣。食べても食べても腹は膨れず。
ベドベドべならぬどべどべどになってしまう。
そこに社長がやってきた。
イケメンだ。イケメンの若社長。
社長はアイテムボックスからゴールドアーマーを取り出した。2回までのダメージに耐えられる上に酸性とアルカリ性の洗剤を好きなだけ混ぜられる。
「∫」が群れをなしてうねうねと動く。
3体の「∫」を生け贄に、ついに神がフィールドに降臨する!!
「じいさん、じいさんや」
え、ばあさんかい?
確か今は
そんなことを聞くと、ばあさんはにこにこと笑いながら手を振る。
なんじゃなんじゃ?
ばあさんは近づいてくる。言った。
「ゲリュッポォォウ!!」
その頃、藤原道長は桶狭間の狭間にいた。
されどもわしはネオ・藤原道長。すべての歴史を平安にし、そしてわしのマークは大正製薬。
おじいちゃーん、ザッボーン!
・
四散していた意識が少しずつ戻り始める。
それは上に投げた球が放物線を描いて元の場所に戻ってくるかのようだった。
ああ、戻ったはいいが、まるきりぐちゃぐちゃだ。
もう一度心のピースを拾い直さなくては……
「廉太郎、おい、廉太郎」
誰かが私をゆすっている。
私を
そうか、私は確か、してはならないことをしてしまったのだったか。
先生の声が近づいてくる。
「おい、滝! 聞こえるか! 滝!」
伝えなくては、
これ以上、悲しい犠牲者を増やさないために、
「君の前前膳膳……和イスキー……膳」
「滝!? どうした突然!」
違う、
「あの虫みたいなやつの名は……インテグラル……」
「滝!」
「廉太郎!」
う、もう、限界だ。
これがおそらくはラストチャンス、
伝えなくては、
伝えなくては、
つたえなくては
つくえ はてたな
「繋げて消すのが、グンペイだ」
ピュイーン。
後頭部のツボを押した時に「致命的なエラー CXID0021」が発生する欠陥があります 脳幹 まこと @ReviveSoul
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