千佳ならではの、ぐちゃぐちゃなお話。

大創 淳

第三回 お題は「ぐちゃぐちゃ」


 ――今、僕の脳内がまさにそれ。とある放課後に、見ることとなった光景。



 フランス革命の第二次が勃発。アイム・ヒットラーが率いるナチリズムが、市民たちの前に立ちはだかる。それに立ち向かうは赤い軍服の女性で、名はアンという。


 ナチリズムの組織内にいたアンは、市民の味方となった。どうしてか? 気紛れと本人は言うけれど、その真意は物語が進むにつれ明らかとなる。……その様な舞台が、僕の脳内に現れた。ぐちゃぐちゃの姿となって……


 投げる赤い薔薇。


 奇蹟といえる程の必殺必中の命中率。狙うは相手の首。でも、ナチリズムの連中も只者ではない。緑の軍服の裾から飛び出すナイフ。皆が皆、同じ服装でまるで量産型。


 アイム・ヒトラーは、水で濡らした革のベルトが武器。毒蛇みたいに絡みつくのが特徴。そんな連中に戦いを挑むのは、作家の野口のぐちとしと車引きの車夫しゃふ。二人の登場により、必殺のような展開に。杖に仕込んだ鎖を相手の首に巻き付けて吊り上げるのは野口俊で、空手技で戦うのは車引きの車夫で、そこにアンが加わって物語は展開されて。


 ……何ということ?


 お空の色が真っ赤に染まる中で見た光景だ。とてもとても、ぐちゃぐちゃな設定。朦朧とする意識の中で、僕が見た光景。執筆するのは、きっと物語になる前の形なの。


 フランス革命。赤い薔薇。アイム・ヒットラー。車引きに、作家と少女の恋も。まるでミキサーにかけたように、ぐちゃぐちゃに絡み合い……そこから物語は生まれる。


 高熱の中で見た設定……


 僕はそのまま……倒れたそうだ。


 脳が溶けるような感覚なのを覚えている。その季節は夏、七夕の日。そして物語は、僕の脳内に住み着いている。ぐちゃぐちゃの状態を維持している。執筆する頃に、その形は整うのだと思う。今はまだ難しい内容。もう少し、お勉強が必要。その日その時まではまだぐちゃぐちゃ。ぐちゃぐちゃは、まだ誕生する前の姿なの……


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千佳ならではの、ぐちゃぐちゃなお話。 大創 淳 @jun-0824

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