いじめられた、引きこもった、そんな自分を親が呪った。
普通、そんな現実を全てブン投げてやり直したくて異世界へ――。
でも、このお話に、そこまでの破壊的な前提は無い。
そもそも、主人公が”元”アイドルなんて、異世界(芸能)からの転移者みたいなものじゃないか。
というわけで(?)、トラックなしで、どういうわけだかフワッと本当の異世界へ。
世界が変われば生きてきた前提なんて、すべてリセット。
だけど、それまで積み重ねてきたもの、それは、失敗も含めて無くなるもんじゃない。
それでも、リセットされる関係は、同じところから引っぱり続けられ、どうしようもなく絡まった心の糸を解きほぐすきっかけを与えてくれるものなんだ。
これは、そんな彼女が異世界で複雑な事情を抱える登場人物との出会い、そして、それぞれの解決へと向かう中で、自分の居場所を見つけ、本当の自分を再発見していく物語。
彼女が求めていた世界はどこにあるのか。彼女と共に探してみませんか?
なんとなく行き詰まった、新しい扉を開きたい、そんなあなたが読めば、なんだか素直に行動したくなる気持ちにさせてくれるはずです!
読んでいて感じるのは、とにかく描写がうまい!ってこと。
上手く書こうとして、描写がしつこくなる方もちらほらみられますけど、スッと頭にイメージできます。
私はバトルものを書いているけど、嫉妬するぐらいにカッコいい!
こんぐらい、上手く書けるようになりたいわぁ~w
心に傷を負った元アイドル黒髪ロングの女性主人公が、異世界に転移するお話です。
そこで出会うのは個性的な仲間たち。
ゴスロリの自動人形な女の子や、謎めいた銀髪イケメン、オタク系女子などなどと、お店を経営したり、ギルドで依頼を受けたりして暮らします。
主人公の元アイドルもそうですが、登場人物がそれぞれ複雑な事情を抱えており、深いドラマが展開されるのが見所です。
仲間たちが、それぞれの事情に互いに寄り添って暮らしていくなかで、理解を深めあい、絆を紡ぎ出していく。
そんな温かな人間関係が、少しずつ作られていく中で、主人公の元アイドルが自分の居場所を見つけ、本当の自分を再発見していく――優しさに溢れた物語。
キャラの一人ひとりの造形に一切の手抜きがなく、サブキャラ含めて全員が魅力的なのがすごい作品です。
それを熟練した筆致で描き出すので、キャラが活き活き動くだけじゃなく、少女漫画のような華のある絵がみえちゃう。
そんなキラキラ、ふわふわした雰囲気がこの作品の魅力の一つです。
が、それだけじゃない。
意外にも、バトルシーンがガッチガチに作り込まれた熱い作品だったりもします。
バトル描写は『格好いい』というより『華麗』といったほうが適切かなという、やはり華のある雰囲気。
それでいて、複数人のキャラが同時に動き回るという、文字媒体だと想像しにくい場面でも、頭にすっと入って読めちゃうあたり、高いスキルを持った作者さんの匠な仕事です。
こんな方にオススメ
:深く作り込まれた個性的なキャラが、それぞれ抱える人間ドラマを味わいたい。
:少女漫画的な雰囲気の、お店経営や日常シーンの掛け合いを楽しみたい。
:派手で華麗なバトルも見てみたい。