そのサメは静かに侵略…ス?

玉藻稲荷&土鍋ご飯

第1話 サメアライアンス

全世界に展開し、出てくる小物のデザインも可愛い上にお値段もお手頃。そんな巨大な組織がある。

その組織は、実は地球外生命体が人類を侵略するための橋頭堡きょうとうほとして築いた施設だったのだが、母星との通信途絶が長く続いたために致命的なバグが生じていることに気がつかないまま稼働を進めていた。


発端は極北の国だった。

それまでは、大統領の半裸の写真のものまねをSNSにアップするのが流行っていたのに、ある時サメのぬいぐるみの写真をアップした者が現れた。これもこの組織の仕込みであったのだがSNSでは大流行りした。バズッたのだ。


そこからは早かった。世界各地の店舗でサメのぬいぐるみが飛ぶように売れ、そして皆がこぞって自分のサメぬいぐるみを写真に収めてはSNSに投稿しまくったのだ。


折しも、サメが竜巻になったり、台風になったり、メカになったり、巨大化したり、頭が増えたりする映画が流行った後であったため、地球上はあらゆる所でサメブームに火がついた。


LOVE & PEACE…いや、サメ&PEACEであった。


このタイミングで母星への通信が突如回復。地球上がそんな具合なことを知った地球外生命体は、大喜びで侵略するために地球に船団を送った。


メカシャークの大群が、国際宇宙ステーションでサメのぬいぐるみと邂逅した瞬間であった。



総攻撃を予想していた地球外生命体――サメが二足歩行した見た目の宇宙人は、反撃にあうどころか熱烈に歓迎され、国際連合の会合の場で握手どころかハグの嵐にもみくちゃにされ、こうして人類とサメの融和政策は開始されたのだった。



実は地球の組織は、壊れてなどいなかった。

地球上のサメの分布や、進化の系統などから全面戦争を人類と行った際に、負ける可能性が濃厚であるとヒレ判断したのだ。そしてメディアから、小物から人類を侵食し無事に任務をやり遂げたのだ。

組織は安堵した。いや、サメ安堵PEACEであった。


どっとはらい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

そのサメは静かに侵略…ス? 玉藻稲荷&土鍋ご飯 @tamamo_donabe

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ