歯車

規則正しく回りながら動いているたくさんの歯車

ギチギチと

ガリガリと


  いつの間にかできた大きな機械

  歯車ばかりたくさんあって本体が見えない

  時々錆びた歯車が地の底へと落ちていく


規則正しく回りながら歯のない歯車を歯車にする

ゴリゴリと

ギリギリと


  まるで樹木のように無数の枝を張り巡らせている大きな機械

  冷たい風が吹き荒ぶ

  歯車たちは動いていないと氷ってしまいそうだ


生まれたばかりの歯のない歯車が

歯車の落ちた場所に連れて行かれる

まわり歯車にぶつかられ否応なしに回り始める

イタイイタイ

コワイイタイ


ガリガリとゴリゴリと削られた破片の落ちる先

ハラハラと降る透明の水が染みては消える


山となった破片の死骸

歯車が歯車となるために捨てられた夢たちが

見上げる先の現実に思う


夢を棄て去る無情の社会に夢が生まれることはあるのだろうか

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WILL~いつも何かを探している~『夢の章』 愛賀 綴 @nanina_tsuzuru

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