ジャングルジム
文重
ジャングルジム
「嘘じゃないもん、絶対来るもん」
美桜は心の中で繰り返しました。深夜、アパートを抜け出して来た丘の上の公園のジャングルジム。ずっと前から美桜には来るとわかっていました。いつか来る、絶対来る、いい子にしていれば、きっと助けに来てくれる、そう信じていたのでした。
先週転校してきた陽菜ちゃんと遊ぶ約束ができたのが嬉しくて、放課後ジャングルジムの上で、思い切って秘密を打ち明けました。
「宇宙からこのジャングルジムを目指して来るの? 美桜ちゃんって、ソウゾウリョクたくましいんだね」
陽菜ちゃんは鼻で笑ったのでした。さっきまで前の学校のことやアニメの話で、あんなに盛り上がっていたのに。
五時のチャイムが鳴りました。帰っていく陽菜ちゃんのピンクのワンピースを見送りながら、美桜はとぼとぼと坂を下り始めたのでした。
「きっと来るもん」
涙を拭って美桜が何度目かに空を見上げたその時、突如雲間からまばゆい光が射してきたのでした。
ジャングルジム 文重 @fumie0107
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