ツバコーラジオ

第3話：町張さんの想い

　さぁ、お昼休みもあとわずか。

　お昼ご飯を食べ終え、お腹は満腹ですが、謎が解けないままだと午後からの授業がモヤモヤしてしまいます。先生、是非とも解決編をよろしくお願いします！

　あぁ。

　ここで、町張さんの話していた言葉をもう一度振り返ってみよう。彼女はちゃんと、ヒントを話してくれていたんだよ。

　えーと、町張さんは

『ライブ見てて、思いついたんだ。包みを開けて、絶対使ってよね！』

　って言ってましたよね。

　そう、彼女のプレゼントは、まだ包（つつ）みに包（くる）まれていたんだよ。

　…………どういうことでしょう？　吹和くんがもらったプレゼントはクマのぬいぐるみでしたよね？　ちゃんと包みを開いていたんじゃないですか？

　違うね。クマのぬいぐるみは、大きな赤いリボンを背負っていた。そのリボンを解（ほど）くと、その中にこそ、彼女の本当のプレゼントが入っていたんだよ！

　彼女の本当のプレゼントは、クマのぬいぐるみによって包まれていたんだ！

　ぬいぐるみに包（くる）まれていたなんて！

　それはさすがに予想付きませんね！！

　それで、そうなると俄然気になります。町張さんのプレゼントは何だったんですか？

　うん。クマのぬいぐるみの背中の赤いリボンを解くと、中からは真っ赤な手袋が入っていたんだ。片方だけね。

　へー！　うんうん。寒空の中ライブをしていた彼を見て、手袋をプレゼントしたかったんですねー。

　ってちょいちょいちょーい！　どうして片方だけなんですか！？　包みを開いて謎が解けたと思ったらまた別の謎が現れたじゃないですか！

　まぁ、部外者の僕たちが聞くと謎に聞こえてしまうかもしれないけれど、吹和くんにしてみたらそれは謎じゃない。町張さんの想いをしっかり彼はまっすぐに受け取ることが出来たんだよ。

　えっ！　謎じゃない？

　手袋を片方だけプレゼントされても普通困るじゃないですか？　まさかもう片方はまたどこかに包まれているとか……。

　忘れたのかい、棒田くん。吹和くんは腹話術部の腹話術師なんだ。彼が寒空のステージの上で、相棒の人形と語らっている時、空いている片方の手が寒そうだなって、町張さんは思ったんだ。

　彼女は腹話術人形と頑張る吹和くんのもうひとつの手をも温めたかったんだよ。

　ははぁ、すごいですね。

　吹和くんからしてみたら、確かにしっくり来たのかもしれないですねー！

　あぁ、彼は次のライブが待ち遠しいって言っていたよ。

　丁度、今日の放課後、鍔迫り辻公園でゲリラライブをするって言っていたから、気になる人は行ってみたらどうかな？

　腹話術のゲリラライブって、誰もお客さんが居なかったらめっちゃ寂しいじゃないですか！？　ちょっとボクも様子見に行こうかなぁ。

　家が近い人、腹話術に興味がある人がもしいたら、鍔迫り辻公園に見に行ってみてください！

　今日も寒いですが、町張さんの気持ちのこもったプレゼントのお話で、なんだかボクたちのこころも温かくなりました。その片方だけの手袋、なんなら吹和くんの腹話術よりもちょっと気になっちゃいますね！笑

　そう言っているのも今のうち、彼の腹話術は本当にすごいよ。必見、いつかテレビに出ちゃうかもね。

　おーーっと、いいところでチャイムが鳴ろうとしております。今日のゲストは鶴見　繕郎先生でしたー！

　腹話術部、曲芸部、裁縫競技部の方々、その他今日も部活動に精を出す皆々様！　今日も寒いですが、もうひと踏ん張り頑張りましょう！

　もうすぐ新学期！　新入生がやって参ります。

　楽しみですね！　生徒たちが織り成すハートフルなドラマ、ドシドシ送ってきてください。皆さんの高校生活が温かく、面白く、楽しくなるようにボクも精一杯サポートさせていただきます！

　ツバコーラジオ、棒田ストライプがお送りしましたー！

　またね！