クレーンゲームで縫いぐるみを取ってあげた。

🔥SOU🍨🔥12月06日より新作投稿開🐳

第1話完結

 一組の若い男女が長いエスカレーターを下っている。

 少女の方は、ギャルと言った見た目でカジュアルな私服に身を包んでいる。

 男の方はと言うと、気慣れていないファストファッションに身を包み、如何にも整えて来たばかりの頭髪をワックスを使い毛先を遊ばせており両者共に気合が入っていると百戦錬磨の恋愛強者達には分かるような風体だった。

 それに対して周囲のカップル達は、生暖かい目線を向けている。

 映画館の一階にある。ゲームセンターに足を運んでいた。

 射幸心を煽るようなBGMやSEが鳴り響くよう、古き良き五月蠅いタイプのゲーセンではなくライトなゲーセンだった。

「映画の半券で1プレイ無料か、コイン10枚って結構ありがたいよね……」

「そうだね。鈴鹿スズカさんは良くゲーセンに来るの? 駅前だと地下とアーケードの方にゲーセンあったよね?」

「友達と行く時しか行かないかな……」

 友人が多い。とは言えない二人は押し黙ってしまう。

「何やろうかな? 時間を潰すなら王道のメダルゲームだけど……」

「コータローならクレーンゲームって言うかと思ってたけど苦手なの?」

「あんまり得意じゃないかな……」

「へーそうなんだ。大体3000円ぐらいでアームが強くなるイメージだけど巧い人は直ぐとるからなぁ……」

 時計を見るともうそろそろシャトルバスの時間だった。

「あ、折角だしあのでっかいクマの縫いぐるみがほしいな」

 彼女が指さしたのは、どうやって持って帰る? と言いたくなるような超特大の縫いぐるみだった。

「あれ取るの?」

「ダメで元々だよ? 欲張ったっていいじゃない」

「確かにそうだけど……」

 店員さんにたので半券二枚で遊ぶ事を伝る。

 一回目はアームの強さと癖を把握するためにプレイする。

 これならいけるな

 二回目で展示品にアームを当てて、雪崩を起こして縫いぐるみを2個手に入れた。

「この子は、大事にするね。」

その笑顔は眩しかった。

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クレーンゲームで縫いぐるみを取ってあげた。 🔥SOU🍨🔥12月06日より新作投稿開🐳 @a2kimasa

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