777文字で完結させる挑戦 第二回ぬいぐるみ
木村空流樹ソラルキ。
第1話 ぬいぐるみ達の談話会
時計の針の音がする。
カチコチ、カチコチ。
リビングから人の気配は消えている。
「もうそろそろ。いいよ……。」
おもちゃ箱から遠く離れた所で声がする。一番新参者のららっくまが手を上げている。六十センチのもちもちした手触りが可愛い女主人に愛されてるぬいぐるみである。
「又、女物のスカート履かせられた……。」
スマホゲームのキャラクターのリナが箱から飛び出した。彼は女主人2に愛されてる。ぬいである。
女主人2に洋服を作られ着せ替え人形になっているセガゲーセンの出身である。
「手を貸してくれないか……。」
我が家で初めてのぬいぐるみ。初代と姉御が箱から上がってきた。ららっくまとこららっくまである。
「他の奴らは捨てられたか……。」
「可哀想に……。何故大量に捨てられたのかしら?」
「男主人がダンボールに詰めて居たのを見たから、間違えない。」
「血も涙もない主人達だ……。」
おもちゃ箱から出るとぬいぐるみ達は溜息を吐いた。
数体は車座に座ると、居なくなった同志に手を合わせた。もう4体しかいない。
リナが声を上げた。
「ねえ。これ新しい玩具じゃない?」
新品の袋に箱ごと立ててある。
「中身を見せて!」
こららっくまが叫ぶ。
もちもちららっくまが袋から苦戦しながら、箱を出した。
カラカラと音がなる玩具である。
「初めての見る形だ……。ぬいぐるみではないから動かないよ……。」
朝になり夫はダイニングに降りてきた。
中学生の娘が「また、私のぬいだけが、外に出てる。きちんと仕舞ってるのに……。私の部屋に置こうかしら……。」と呟いた。
「あかちゃんが来る前に片付ける習慣づけないと、何でも舐めるからな〜足元には置くなよ。」
「お母さんはいつ退院?」
「早くて一週間後だな。妹は待ち遠しいか?」
「もちろん!」
娘が大きく頷く。
「ダンボールのぬいぐるみ達は、フリーで持っていって貰えるように玄関外に置いておくよ。」
777文字で完結させる挑戦 第二回ぬいぐるみ 木村空流樹ソラルキ。 @kimurasora
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