そこに愛はあるか

おともミー@カエル

第1話 ちがう、そうじゃない

 わたしはぬいぐるみが好きである。

 ぬいぐるみなら、なんでもいいというわけではない。

 

 そう、わたしが愛するのは・・・くまのプーさん


 笑うな、そこ。

 

 言っておくが、わたしはスケーターの羽生ゆずる君より年上だ。

 プーさんを好きになったのは、わたしが先だ。彼のファンではあるが、決して彼の影響ではない。


※※※※


 「もしもし、お土産買って来たわよ」


 月に数回電話してくるのは、旅行好きなわたしのマム。

 

 「今回金沢行ってきたのよね。で、アナタの好きな、くまのプーさんがお土産屋にあったから、買って来たわよ」

 ・・・?金沢にくまのプーさん?ご当地プーさんなんだろうか。


 人の話をあまり聞かないマムの、唯一インプットされている娘情報が

 

 "わたし(娘)が好きなのはくまのプーさん"


 更に言っておくが、プーさんなら何でもよいわけではない。

 ぬいぐるみ以外のグッズは興味なし。

 ぬいぐるみでも、シナ製のゲーセンにあるようなブサイクなプーは不可。

 本場ディズニーショップに積まれたぬいぐるみを前に、一個選ぶのに何時間もかけるほど、好みの顔にはこだわりがある。


 なのに、マムに何度言っても、プーを見かけるとわたしが喜ぶと思って買ってくるのだ。そこには、確かに愛があるのだが、しかし。


 「マム、これどうみてもパンダなんだけど?」

 しかも、腹にでかく"かなざわ"と刺繍されておる。全くをもって可愛くない。

 何者だ、おまえは。


 なのに、マムにかかっては、クマは全部、娘の好きなくまのプーさんになるらしい。いや、パンダはクマになるのか?


 前回は、いつもは赤いベストしか着ていないくせに、冬だからとセーターを着ていて生意気だったと、ラルフローレンのテディベアを買ってきた。

 ちなみにプーさんが着用しているのは、赤いTシャツで、ベストではない。

 絶対ワンピースのルフィーと間違えているな。マムはサンジ好きだから。

 てか、そもそも全然違うし。店員わかっているなら止めろよ・・・。

 旅先のフリマで、プーさんと同じボディーカラーの黄色のカエルを、プーさんだと思って買ってきた時は、さすがに眼科受診を勧めそうになった。…抱き心地は最高だったけど。


 ぬいぐるみには罪はないので、今のところは箱に入れて保管している。断捨離は得意だが、ぬいぐるみはどうしても棄てられないんだよね。



 

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そこに愛はあるか おともミー@カエル @trytomoji

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