第21話 スカーニーの死

2023年9月30日、9:30、スカーニーは自らのその重荷をこの地上に下ろして旅立った。

長年患ったアルコール依存症が引き起こした錯乱によりめぐみの人生を阻害していた罪に耐えられなかったのだそうだ。

30年以上離れ離れとなっていた娘の再会は悲劇を招いてしまった。

めぐみはよく懐いた、いつも助けてくれてありがとうと言いながら、30年のブランクを感じさせないほどに自分の父だと懐いた。

それがよくなかったのかもしれない、とひとりひとりが言葉を失った。


寂しい思いをしてきたことは誰もが見ている。誰も助けてあげることができなかったから、スカーニーを助けてあげられる存在が実の娘であったことがまわりには救いだった。


捜永と監永が最後を看取った。

「スカーニーさん、本当にいいんですか?」

釈然としない気持ちがある。納得できないのだ。すべてを見てきたのだから。

「娘にしてやれる最後のことだ」


死は静かにやってきた。黒沼衣子が迎えに来てくれた。

黒沼衣子は時空旅人ではない。彼が向かうところは硫黄の匂いに包まれた大きな瓶の中なのかもしれない。



業火の隠秘が幕を閉じた。

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業火の隠秘-帝冠任務- 恩賜芍薬/ Grace Peony(♂= @falg-book

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