学習

チャーハン@カクヨムコン参加モード

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 時は2030年。技術の発展に伴い電子書籍が普及し始めた頃。とある本屋さんが窮地に立たされていた。技術が急速に発展するまでは、親子連れの方やご年配の方、学生等が書籍を購入するためにやってきてくれていた。


 しかし、2030年になってから技術の急速な発展に伴いいつ、どこでも簡単に書籍購入可能なアプリが開発された。このことにより、様々な地方における本屋さんは減少の一途を辿っていたのである。


「はてさて、困ったものだなぁ」


 私は白髪交じりの黒髪を触りつつ、一枚の紙を眺めていた。

 その紙は、今年の利益率だ。昨年に比べて利益が大きく減ったことで、現在出費の方が多くなってしまっていた。


 利益が赤字のままやれる程の資金が無い以上、このまま畳むしかないのか。

 そんなことを考えていた時だ。何者かがこの建物に入ってきた。


「いらっしゃ……い?」


 そこに立っていたのは、明らかに人間ではない何かだった。

 何せそれは、テレビの頭を持ったアンドロイドだからだ。

 アンドロイドは店内に入るとすぐ、店内に置かれている古本コーナーに直行した。そして、機械仕掛けの腕で器用に書籍を手に取ると、ぺらぺらと読み始めた。


 奇怪な現象ではあるが、閑古鳥になってしまった店内に居てくれる客がいるのは嬉しいため、店主のお爺さんは引き留めることはしなかった。そうして何冊か読み終えた後、テレビの顔を持ったアンドロイドは読んでいた本の山をカウンターへと持ってきた。


「これ、この値段でください。おつりは結構です。」

「えっ、その、こんなに受け取れませんよ!」


 そのアンドロイドが持ってきた金額は、古本に設定した金額の約10倍だった。普通ならあり得ない金額だ。そんなお金を、アンドロイドは払ってしまったのだ。


「……弱ったなぁ」


 私はアンドロイドを捕まえるために外に出たが、既にその時姿は無かった。私は弱りつつも、貰ったお金を基にまた書籍を購入することにした。


 一方その頃、何処かの研究所にて――


「アンドロイドAが書籍を持ち帰って来たようです」

「おぉ、よくやったな。今は手に入りにくい古本だ。早速機械学習に使うとしよう」

「はい、分かりました」


 こうして今日も、機械は賢くなっていく。

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