第3話 魅惑の古本屋

 自転車で15分程の距離に古本屋があった。ブックオフのようなハイカラな店ではなく、老舗の古本屋で、本棚と本棚の間は狭くて薄暗く、奥に長い、異空間のような店だった。


 品揃えはその辺の本屋を凌駕しており、マニアックな古書や全集、同人誌まで取り揃えていた。経営者がヤの人だという噂もある胡散臭い店だが、真相は定かではない。


 古本屋での物色はまさに宝探し。

 何が置いてあるかわからない雑多なものが並ぶ棚からたまたまレアなものを見つけたときの喜びといったら、たまらない。


 思い出の買い物といえば、ファミコンソフトの攻略本。好きなゲームの攻略本を探すのが楽しくて、見つけたら必ず買っていた。今となってはレア価格がついているものもある。


 それからアニメのセル画。どこから横流しされたのか、いろんなアニメのセル画を売っていた。棚に詰め込まれているので一枚一枚探していく楽しみがあった。そこで好きだったアニメのセル画を一枚だけ見つけた。今でも大切に持っている。


 雑誌のバックナンバーも豊富だった。普通の本屋で取り寄せするにも情報がなさすぎる。しかし古本屋ならまさにアーカイブの如くバックナンバーが揃っている。

 そこで音楽雑誌やアニメ雑誌を漁った。知る人ぞ知るジュネやファンロードという雑誌を知ったのも古本屋だった。


 漫画作品も古本屋で見つけて買ってみて、気に入ったら新刊で買い始めた。古本屋での出会いは多い。


 基本的に本は新刊で買うことにしている。これは自分が創作の一端に関わるから、ということもあるし、応援する作者にお金が入る方が嬉しい。

 しかし手に入らないものは古本屋で、というのはアリだと思う。


 今ではネット検索でバックナンバーも手に入るし古本も買えるのですっかり行かなくなってしまったが、宝物探しの楽しさとわくわく感は良い思い出だ。

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本屋さんよもやま話 神崎あきら @akatuki_kz

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