日本の書店の現状
新巻へもん
厳しい現状
日本の書店の経営状況は厳しい。
昨年発表された『出版物販売額の実態』によれば前年から書店数は減っている。
想像通りではあるものの数字を見ると暗澹たる気分になる。
都道府県別に見れば東京都が一番多いが、それでも千店を切っている。
東京都の人口を都内書店数で除した数は約一万五千。
これは書店一店舗当たりの商圏人口を示している。
店舗の周囲にそれだけの人口が居なければ商売が成り立たないということだ。
東京の場合はターミナル駅に存在する大型書店の存在も考えなければならない。
実際にはもっと多くのお客さんが必要ということになる。
コンビニエンスストアで同じような計算をすると一店舗あたりで必要な周辺潜在客数は約二千。
よりコンパクトな商圏で商売が成り立つということだ。
調べてみたところ、うちの書店の周囲には一万五千人もの人口はない。
そして、このデータ以降も書店の閉店という話をいくつか耳にした。
深刻なことにうちのようないわゆる町の本屋さんだけでなく、大型書店ですら閉店するケースもある。
渋谷駅の百貨店に入っている書店も閉店した。
神保町と東京駅の大型書店閉店の報にはびっくりしたが、こちらはビルの建て替えによるもので再出店の計画はあるという。
東京駅の方は親会社が大手ゼネコンと取次会社だ。
そこが将来性はないと見切りをつけたのなら、うちのお店はとても無理だろう。
ただ、オーナーの思い入れが強いのでそう簡単には諦めるとは思えない。
何かお客さんがお店に来てくれるようになるアイデアがあればいいのだが、あいにくと俺にそのような才覚はなかった。
一応、一冊盗まれると五十冊売らなければならない万引きは防げているが、これはあくまで守りだ。
結局のところ本離れを食い止めなければジリ貧だ。
だが、どうすればいのだろう?
『出版物販売額の実態』自体が冊子形態では販売していないことに全てが現れている……。
日本の書店の現状 新巻へもん @shakesama
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