誰何-了
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薄暗がりに沈んだ中央のベッドに、茉莉花は半身を起こして大きく伸びをしていた。
「おはよう、お兄ちゃん」
「お、おはよう、茉莉花」
一晩寝て起きた、みたいな
ふにゃり、と
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
俺は薄暗がりの中、かろうじて表情が窺える入り口付近から先へと進めずにいる。
「あたし、お兄ちゃんの
「そうか、ありがとな」
ベッドの脇へと歩み寄る。近づいたところで表情が
ポッケから首輪を取り出して茉莉花の首にかけてやった。
「ありがとう、お兄ちゃん。似合う?」
俺は耐えきれず、茉莉花を抱きしめていた。生きている。生きて、動いて、喋っている。そして、俺に礼を言っている。
似合う? そう訊かれたら、例え相手が誰だろうと、男はこう答えるべき、という例を俺はいくつもの物の本で読んできた。
「……わからん。ここは暗すぎる」
茉莉花の含み笑い。
「お兄ちゃんらしいわ」
*
茉莉花の
「おう」
「おう」
「あんたとの<
「……意外と晴れ晴れとした顔してるな。妹さんは無事だったんだな」
「お陰様でね」
俺が言い切るより早く、犬は俺を抱きしめた。おんおんと泣いた。ふくよかな胸に顔を埋めながら、ほんとなんでこの人は……と思った。
目黒書店。
それは俺が守るべき、ただの本屋。
武装目黒書店 スロ男 @SSSS_Slotman
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