誰何Ⅵ-Ⅲ
だったのだが——
「おまえは誰だ」
俺は声に出して言った。これが幻聴でなければ訊くまでもなく対象は<誰何>だし、ならば問うまでもなく
「どうした
犬の
「済まないが、犬。俺は役立ちそうにない。しばらく独りで頼む」
返事を待たずとも大丈夫だろう。見ずともわかる、犬とはそういう
視界に入る位置にあるはずもなく、あったとしても
一旦抜かれた時の表情はわからないが、再び追い抜く時にチラリと山下さんが見えた。苦笑している。定位置に戻った時、犬はいつもと変わらぬ自然体で前方を警戒していた。
「オニイチャン……」
また声が聞こえた。幻聴ではない。おそらく<誰何>の
また笑声。
そうして、
『まさか
響いてきたのは茉莉花とは似ても似つかぬ、
おまえは誰だ。
何度も繰り返した文言だが、繰り返さずにはいられない。
『
ピンときた。第三の勢力はこいつだ。いや、こいつに代表される何かだ。
「雉——!」
犬の悲痛な叫び。鍛えられた
<
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