泣いてばかりの私はもう捨てたいから、もう忘れちゃうからね

おどろおどろしいイメージから一転、いい話にまとめられていた。
不思議なことがあるものである。
ホラーっぽさもあるけど、ちょっとしたSFな気がする。

書き出しから、不穏な気配を漂わせている所がいい。
勇気を振り絞った割には、相手の地縛霊から怖さを感じない。
地縛霊と表現しているけれど、地縛霊ではないのかもしれない。
主人公と地縛霊は対になっていると考える。

「住んでいた部屋は、ある程度、収入が安定すれば引っ越してもいい」の助言は地縛霊から受けたものだろう。
マンションを出ることを、地縛霊も承諾していたことになる。
主人公がマンションを出たことで、地縛霊の役目は終わったと考える。

お盆を迎える度、上手く行かなかったもう一人の自分の弔いながら感謝することをしていけばいいと思う。