小説新人賞を求める物書きたちの生々しい断片集

男子高生、女子高生、就活生、喫茶店主。
それぞれが環境に友人に惑わされながら、
小説を書き、そして嘘をつく。
ふるいにかけられる彼らの小説は。
現実を誤認させるための彼らの嘘は。
どのように交錯し、結果を招くのか。


※以下はネタバレを含んだ感想的なレビューです。

この物語は、4人の一人称が(基本的に)エピソードごとに切り替わり、バラバラに展開していきます。そのため、私は少し全体像を把握するのに時間がかかってしまいました。
が、次第に4つの物語に引き込まれてしまい、そして最後それぞれに決着がつきながら重なり合っていく展開は、まさに群像劇です。
(※以下、特大のネタバレにはなりますが、)
また、結果としてこの四人の内では誰も賞を取ることができず、あくまで彼らは凡人として、この物語の中で小さな変化と成長を得る展開は、とても私好みでした。
受賞作「僕らは『読み』を間違える」は未読ですので、期待が高まっております。