第2話 書籍化作業は長丁場
前話では作家業は経済的なコストはほとんどかからないというお話をしました。
一方で時間的なコストは結構かかります。
新巻はカクヨムコンで受賞して書籍が発行という運びとなったのですが、実際に本が書店に並ぶまでの期間は7か月にも及びました。
既に原稿があるんだからチョチョイと修正して印刷すれば終わりじゃん、という気持ちでいると肩透かしを食らいます。
前話でも書いたように冊子の発注者側になったことがあったので、まあこんなもんかと思いましたが、そうでなければ騙されたのかもと不安になったかもしれません。
実際の工程を見ていきましょうか。受賞後に編集さんからご連絡を頂いてまずは打ち合わせをすることになりました。ただ、当時は新型コロナウイルス感染症で行動制限の真っ最中です。オンラインでのリモート会議ということになりました。まあ、今でも打合せはオンラインでしょう。交通費かかりませんから。
とはいえオンライン会議をやっていないと戸惑うこともあるかもしれません。で、私の場合、仕事でも既にオンライン会議システムを使っているので全然問題ありません。というはずだったのですがここで躓きます。
私が普段執筆に使っているデスクトップを使おうとしたところマイクがないことに気が付きます。おおう。物置から引っ張り出したマイクはピンが合わなくて反応しませんでした。というか、カメラも無いじゃん。初打ち合わせなのにめっちゃ印象悪くないか、ということで血の気が引きます。
そうだ。普段使っていないサーフェイスがあった。カメラも内蔵しているし、イヤフォンマイクも使える。早速ウェブ会議の招待メールを転送! できませんでした。私のメールドメインがサーフェイス側のメールサーバでブラックリスト入りしていると思われる英文メッセージが返ってきます。
うん。これは個人ではどうしようも無いやつだ。プロバイダから解除申請しないとダメなんだよなあ。しかもブラックリストからの削除には凄い時間がかかる。始まる前に打ち合わせ終了だな。待てよ。携帯を経由すれば? 当時使っていたのはフィーチャーフォンでしたがうまく転送できました。これが打ちあわせ前日のこと。ふう。危なかった。
そんな感じでなんとか最初のご挨拶をします。このトラブルと緊張していたせいで何を話したのかよく覚えていません。たぶん顔合わせが主目的だったんだと思います。実際の改稿作業等はメールでのやり取りで行うことになりました。そしてこの作業が思いのほか結構作業量が大きいんです。
書籍には表紙ほかにイラストが入ります。まず最初にそのイラストを発注するに当たっての諸元をデータ化してくれと依頼されるわけですね。身長、髪や目の色、服装、装備などなどなど。新巻のようにあまり作中で描写していないとここで困ることになります。しかも、全く書いてないわけじゃなくて、ほんの一か所だけ描写してたりするんですよ。全部読みなおさなくてはなりません。
そして、その送られてきたデータ表はエクセルで作成されていました。それがどうしたと思われるかもしれません。大問題です。なぜなら私のメインマシンにはマイクロソフト・オフィスなんぞ入っていないから。自宅で残業しないという固い決意と共にパソコン購入時にきっぱりはっきりと要りませんと言ったつけが回ってきました。
ここでもサーフェイスが活躍することになります。そりゃオフィスは入ってますよ。マイクロソフト製ですもの。でもやっぱりメールが転送できません。今回は容量が大きいのでフィーチャーフォンを経由すると通信料で死にます。ということで、グーグルのアカウントを作成しGメールのアドレスに送付しました。
これでようやくキャラデータの作成作業を開始することができる状況となります。ただサーフェイスって画面が小さいんですよね。それでも仕方ありません。チマチマと作業をしてデータを作成しました。それと同時に編集さんから改稿に関する方針が提示されて、それに対するアイデアを返します。
改稿方針に関して合意できるといよいよ改稿作業開始となりました。ウェブ版を書籍の縦書きレイアウトに直したものが送られてきて、それに加筆修正をします。もちろんワードで。サーフェイス大活躍。書籍化作業に当たってはオフィスの入ったパソコンは必須なようです。
あ、別に新巻はマイクロソフト社の回し者じゃありません。むしろ個人的にはあまりいい印象がないです。はるか昔に就職活動で笹塚の本社行ったけど面接官に鼻でせせら笑われた恨みもあるし。笹塚に本社があったのっていつの時代でしょうね。それと、後に仕事でかかわったマイクロソフト社の方には滅茶苦茶迷惑をかけられたこともあったなあ。でも、それはそれとしてオフィスのアプリ群は必要な道具ではあると思います。
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末端商業作家のつぶやき 新巻へもん @shakesama
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