物語のはじまりは、闇を走るバスの車内から。
何やら怪しいそのバスに、主人公の五歳の少女:あかりは一人バスに乗っています。
彼女は一人で亡き母の幽霊を探して、この怪しいバスに乗車したのです。
さて、バスはあかりをどこへ誘うのでしょう……?
ちょっと不気味なシーンから幕開けする本作。ですが、作品全体を通してやさしい言葉で紡がれた、あたたかい気持ちになれる作品です。
母を探す道中で、あかりが出会う登場人物たちも賑やかです。
見た目は怖そうだけどなんだか優しい軍服のおじさん、イケイケの女番長みたいなバイク集団のリーダー、狐の面を被ったいたずら少年……他にもたくさんの出会いがあり、まさにお祭り騒ぎです。
そうした出会いを重ねた果てに、あかりがたどり着いたのは……ぜひ本作を読んで確かめてみてください。
ラストシーンのあかりの「秘密」に、ほっこりすること間違いなしですよ!
私が読了した時点で、星が0個なんですけど、ちょっと信じられない……。
親子と死者を題材としたストーリーはすごく感じ入るところがあって、読者全員が感情移入できると思う。
加えて、本作はキャラクターの描き方が抜群にうまくて、出てくる登場人物がみんな魅力的。
脳内では勝手にアニメ化されたキャラクターたちが動き回っていて、自然と映像が思い浮かぶ。(「若おかみは小学生!」って児童書があるんですけど、あんな感じの絵柄)
なんなら、声優すら想像できるくらい。
5万文字の中編とは思えない満足度でありつつ、もっとこのキャラクターたちのやり取りが聞きたい!とも思った。